経済産業大臣の諮問機関である「総合資源エネルギー調査会」に2012年1月に設置された「電力システム改革専門委員会」(第9回:2012年11月7日に開催)では、2012年末の取りまとめに向けて、「発送電分離」に関する議論が活発化している。
発送電分離とは、現在の10電力会社の発送配一貫体制(図)によって運営され、地域独占形態となっている電力会社の事業のうち「送配電事業」を分離し、新規参入企業が発電事業等に参入しやすくし、電力の完全自由化を実現すること(現在、一部自由化)などを目的としている。
同委員会では、現在、電力会社からの送配電部門の分離について、中立性・公平性を確保する視点から、「機能分離型方式」と「法的分離型方式」の2方式を中心に論議されている(2方式の併用方式など他の議論もある)。
前者は、電力会社から送配電部門を分離し、新しく「独立系系統運用機関」(ISO)を設置して送配電網の運用を行う方式である。一方、後者は、電力会社が持ち株会社をつくり、送配電部門を法的に別会社化(子会社化)する方式である。この場合、子会社が送配電網を所有していることになるが、その運用は中立性を守るため、新たに創設が予定されている全国的な広域系統運用機関で行われることになる。いずれの方式も長短があり、また中立性や公平性が確保されるかどうかが焦点となっている。
なお、現在の審議中の内容が2012年12月16日に行われる総選挙後の新政権にどのように引き継がれるか、また国有化された東京電力で発送電分離がどのように具体化されるかなど、今後の動きが注目されている。
図 現在の電力会社の発送配一貫体制と今後の課題(図の下段)
〔参考 電力システム改革専門委員会『電力システム改革の基本方針』(2012年7月) http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/2.html#denryoku_system_kaikaku〕