2012年12月6日、経済産業省が開催した「電力システム改革専門委員会」で、電力小売りの全面自由化についての改革案が示された。これが実現すれば、私たちは家庭で自由に電気の購入先を選ぶことができるようになる。今回の改革案のポイントは、(1)参入規制の撤廃(地域独占の撤廃)、(2)料金規制の撤廃(総括原価方式の撤廃)、(3)需要家保護策の整備(最低保障サービスや離島の電気料金の全国平準化の措置)、(4)経過措置、など4つである。
(1)は、新電力(特定規模電気事業者)なども家庭に電力供給できるようになり、電力会社の地域独占が崩れ全面自由化が実施されることになる。(2)は、発電コストに一定の利潤を上乗せして料金を算出する総括原価方式の撤廃である。(3)は、自由化に伴い、どこからも電力供給が受けられなくなった場合に備えて、最終的に電力供給する事業者をあらかじめ定めたり(最低保証サービス)、供給コストが高い離島への電気料金の全国平準化の措置(ユニバーサルサービス)である。
全面自由化のイメージ(図)は、現行は企業向けなど一部の大口需要家に対しての電力小売りは自由化されているが、一般家庭については自由化されておらず、電気の購入先を自由に選べない。また、電力料金の全面自由化を最終的に実現するためには、小売全面自由化後、当面の間、一定の経過措置期間〔上記の(4)〕をおき、電気事業者に対して家庭部門の需要家に対する規制料金での供給を義務づけるとしている。競争がないと独占的に電力会社が一方的に値上げをしていくという懸念も考えられるからだ。
最終目標の全面自由化に関しては、発送電分離などの各種制度整備が実施され、競争環境が整備・進展されたときに経過措置を解除し、実現されることを目指している。
図 現行制度、経過措置、全面自由化のイメージ
〔参考 電力システム改革専門委員会、「小売全面自由化に係る詳細制度設計について」(2012年12月6日)、http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denryoku_system_kaikaku/pdf/010_03_01.pdf〕