スマーター・シティーとは?
〔1〕都市が市民の生活を支援する
最近では、このSmarter Planetの中の1つの大きなソリューションとして、ITで都市をより賢くスマートにする「スマーター・シティー」を提唱している。その目標は「行政の枠を超えた産官学の協業・連携による都市の問題の解決と、高い生活の質(Quality of Life)の実現」である。
IBMの考えるスマーター・シティーは、政府や地方公共団体に限定されたものではなく、電力や水道といった公共事業はもちろん、教育機関や病院、企業まで、都市を住みやすくするために関係するすべてをスマーター・シティーの対象としている。
都市に生活する人たちに対して、さまざまな分野からコンピュータなどの機器によって大量のデータを集めて分析し、先の3つのコンポーネントを有効活用して、新しい知見を提供していくことを実施しようとしている。例えばそれは新しいビジネスであったり、新しいサービスであったり、などである。
2013年12月、IBMは、今後5年間で人々の生活を変える次の5つのイノベーションを発表している(http://www-06.ibm.com/jp/press/2013/12/1801.html?CM=R)。
- クラスルームが生徒について学ぶ
- 地元での買い物がオンラインに勝る
- 健康維持にDNAを活用する
- デジタル番人がオンラインユーザーを保護する
- 都市が市民の生活を支援する
5番目の「都市が市民の生活を支援する」、つまり市民の生活を支援できるような都市にコンピュータが関わり始めることを発表し、この分野のソリューションにこれから注力していくことが示された。
〔2〕スマーター・シティー・チャレンジ
さらに「スマーター・シティー」の取り組みの中で、IBMではスマートな都市計画である「スマーター・シティー・チャレンジ」を全世界で展開している。
これは、社会貢献事業として3年間で世界100都市のスマート化に5,000万ドルの支援をし、多様な人材を結集して、都市サービスの効率化・有効化を支援するというもの。細かなセンサーから収集したデータを一括して集め、それに基づいて新しい知見を出していくことを、さまざまな業務アプリケーションの分野で提供するということを実施している。
スマートな都市をつくる意欲のある都市に対しては、積極的に投資を行っている。
IBMが、各都市からスマートシティ化への提案の申し込みを受けて毎年評価して選出し、支援金40万ドル(約4,000万円)が1都市に対して支援される。選出された都市には、専門知識を備えたIBM社員で構成されるグローバル・チームがそれぞれ派遣される。
選定都市は2011年度では24都市、日本においては札幌市が選出されている。次いで2012年度には33都市、日本では宮城県石巻市が選出されている。昨年の2013年度には31都市で、日本では京都市、福島県伊達市が選出されている。注2
このように、現在IBMでは、エネルギーあるいは交通流、教育、ヘルスケアなどさまざまな領域で、世界中で2,000件を超えるスマーター・シティー・プロジェクトを進めている(図3)。
図3 2,000件を超えるスマーター・シティー・プロジェクトの取り組み
次に、これらのスマーター・シティーの具体的な事例を見ていく。
▼ 注2
2011年度:http://www-06.ibm.com/jp/press/2011/03/1003.html
2012年度:http://www-06.ibm.com/jp/press/2012/11/1501.html
2013年度:http://www-06.ibm.com/jp/press/2012/11/1501.html