[クローズアップ]

世界の製造強国トップを目指す中国の国家戦略「中国製造2025」

― 4つの原則・5つの方針を3段階で実現へ ―
2016/04/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

GDP(国内総生産)で世界第2位にまで成長した中国政府は、2016年3月5日、日本の国会にあたる「第12期全国人民代表大会」(略称:全人代)を開催し、今後5年間の中国経済・社会政策の大方針「第13次5カ年計画」(2016〜2020年)を発表し、世界の注目を集めた。同計画によれば、GDPの成長目標を、「第12次5カ年計画」(2011〜2015年)の年平均「7%」から引き下げて「6.5%以上」と設定し、経済の構造的な改革を推進しつつ安定成長に向けて運営する方針を固めた(後出の表1)。
ここでは、2015年5月から推進している中国の新・産業革命「中国製造2025」(Made in China 2025)の概要とともに、中国建国100周年の2049年には、世界の製造強国のトップを目指すという戦略を見ていく。
なお、本記事は、独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO、ジェトロ)海外調査部 中国北アジア課長 箱﨑 大(はこざき だい)氏への取材をもとにレポートする(注1)。

表1 中国におけるGDP(国内総生産)の年平均成長率目標の推移(2016年3月)

表1 中国におけるGDP(国内総生産)の年平均成長率目標の推移(2016年3月)

出所 各種資料を元にインプレスSmartGridニューズレター編集部が作成

中国:人口は世界第1位、GDPは世界第2位

 世界第1位の人口13.7億人(IMF統計:2014年)をかかえる中国は、図1に示すように、2010年には米国に次いでGDPが第2位に躍進し、2013年には世界第1位の貿易大国ともなった。一方、経済成長率(実質GDPの成長率)については、2010年の10%台(10.6%)から、最近(2012年、2013年、2014年)では7%台へと低下してきている。

図1 中国経済の中長期展望

図1 中国経済の中長期展望

第1次産業:農業、林業、漁業など
第2次産業:製造業、建設業、電気・ガス業、工業など
第3次産業:小売業やサービス業など
出所 日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所 真家陽一、「中国の経済・政策・ビジネス環境の最新動向」、2015年8月5日

 このような背景のなかで中国では、今後のGDPに大きな影響を与える新・産業革命「中国製造2025」が2015年5月に発表されて以来、国際的に大きな注目を集めている。

「中国製造2025」のスタート

 「中国製造2025」(Made in China 2025)は、中国の最高国家行政機関である国務院(日本の内閣に相当)の配下にある中国工程院(中国における技術分野の最高研究機関)において、「製造郷国戦略研究」プロジェクトが2013年初めに提案され、2013年末に「中国製造2025」の制定を国務院(内閣)に建議したところからスタートした。

 これを受けて国務院は、2014年1月、中国工程院からの「製造郷国戦略研究」プロジェクトを承認し、同じく国務院の配下にある工業・情報化部(日本の「省」)を中心に「中国製造2025」戦略計画が策定されることになった。


▼ 注1
本記事の詳細については、『世界のインダストリアルIoT最新動向 2016』(2016年3月30日、インプレス刊)を参考にしていただきたい。

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