HomeKitの基本機能
HomeKitとは、スマートハウス関連機器をiPhoneやiPadなどのiOS端末でコントロールできるようにするためのソフトウェアフレームワークである。
これによって、iOS端末をスマートハウス用のコントローラとして使用することができるようになる。したがって、ユーザーとしては、HomeKitに対応している家電や照明、ドアなどを普段使用しているiPhoneやiPadから操作することができるようになる。さらに操作をする際には、iOS搭載の音声認識機能であるSiri(シリ)から行うことになる。詳しい機能については後ほど解説するが、例えば、電気を消したい場合、iPhoneからSiriを立ち上げ、声を使って指示をするだけで、指定した場所の電気を消すことができる。
HomeKitの詳細
〔1〕HomeKit関連のプロトコル:HAP
基調講演の後、開催された開発者向けセッション“Designing Accessories for iOS and OS X, Session701”(セッション701「iOSおよびOS X向けアクセサリー設計」)において、図2のようなHomeKit関連のプロトコルHomeKit Accessory Protocol(HAP)のレイヤ図が公開されていた。
これを見るとわかるように、HomeKitはBluetooth LE注2とIPの通信方式に対応している。そのため、HomeKitはBluetooth LEのほか、IP対応のWi-Fi、ZigBeeなどさまざまな通信方式に対応したものとなる。
HomeKitでは、HomeKit用の共通データベースをもち、このデータベースにHome-Kitで設定した項目や生成されたデータが格納されることになる。これによって、場所や使用する機器に関係なく、対象となる家の管理を行うことができる。
〔2〕家(Homes)を単位として管理
HomeKitでは家(Homes)を単位として、表1のような項目を管理することができる。
これらの項目を参照して、管理する家を登録し、さまざまなコントロールを行うことができる。例えば、2階にある複数の部屋(Rooms)を「2階」という区域(Zones)にまとめた後、Siriを使って「2階の電気を消す」と命令すれば、登録した複数の部屋の電気をすべて消すことができる。
また、ActionSetという管理単位では、複数のアクションを1つの命令にまとめることができる。例えば“Good night”という命令に、電気の消灯やサーモスタット経由での空調オフ、ドアの施錠などの機能をまとめると、Siriで“Good night”とつぶやけば、それらの動作がすべて一度に行われる(ただし、現時点で動作の順序は設定できない)。
▼ 注2
Bluetooth LE:Bluetooth Low Energy、Bluetoothのスマートハウス向け省電力規格。BLEとも言われる。
◆図2 出所
WWDCのオンライン配信画面から著者キャプチャ
◆表1 出所
The Home Kit Framework、https://developer.apple.com/library/prerelease/ios/documentation/HomeKit/Reference/HomeKit_Framework/index.html