HomeKitの今後の展開
ここまで見てきたように、HomeKitはAppleが新たに掲げるスマートハウス向けソフトウェア製品であり、さまざまな可能性を感じさせるものとなっている。現時点ではHomeKitで何ができるのかという点についてははっきりしない部分もあるが、今年秋のiOS 8の正式リリースに向けて、日本語への対応も含めて、より詳細な情報も増え、HomeKit自体の機能もさらに拡張されていくことになるだろう。
そして、その間に表2で紹介したメーカーから、HomeKitに対応した製品が登場してくるはずである。
AppleはMP3音楽プレーヤーであるiPodを発売し、その機器の魅力を高めるために、さまざまなレコード会社を説得し、iTunes Storeでの楽曲ダウンロード販売を実現させ、iPodの成功に弾みを付けた過去がある。
その時と同じように、今回も家電をはじめとするさまざまなメーカーに協力をもちかけ、HomeKitを魅力的に見せるための対応製品のラインナップを揃えようとしているはずである。
依然として現在のスマートハウスにおける機器の制御においては、各メーカー独自の規格が採用されている場合が多い。しかし、それらのメーカーも、今後、引き続き独自規格も採用しながら、同時にAppleのHome-Kitに魅力を感じ、HomeKit対応の製品を投入してくるだろう。
また、今回のWWDCでは、ヘルスケアに関する情報を管理するためのHealth(ヘルス)も発表されており、IoT/M2M関連の戦略を大きく打ち出したことになる。
今回発表されたように、世界中には、現在、2億台のiPad、5億台のiPhone、そして1億台のiPod touchが存在している。つまり、HomeKitやHealthに対応するiOS対応機器が世界に8億台も存在しているのである。
このように巨大な潜在市場に対し、機器メーカーだけでなく、ソフトウェア開発者などがどのように参入してくるのか。今年の秋以降の本格的な展開に注目が集まる。