[市場動向]

スマートグリッド分野への投資額に見るスマートハウスビジネス市場

2015/05/01
(金)
新井 宏征 株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役社長

ラスト1マイルとして、スマートハウスへの新ビジネス領域が注目されているが、実際に欧米ではどのような市場となってきているのだろうか。AppleやGoogle、Amazonのホームへの新しいチャレンジが最近では話題になってきているが、この市場を支える事業者は実際どのような動きとなっているのだろうか。
ここでは、主にスマートグリッドへの投資額をもとに、市場動向を見ていく。

「家」を中心とした新たな価値の領域

〔1〕スマートグリッドから「スマートXX」へ

 スマートグリッドという言葉が注目されるようになってから随分と時間が経つ。当初、「スマートグリッド」という言葉が使われはじめた際は、どちらかといえば、電力と情報通信の両方の技術を組み合わせた新しい取り組みを指す総称として使われていた。

 その後、その取り組みがより具体的、かつ現実的なものになり、さまざまな新しい言葉が使われるようになってきた。それに伴い、スマートグリッドという言葉は、総称というよりは、発電から送配電といった電力会社側のシステムを、情報通信技術を利用することでより効率的に運用し、さらには増え続ける分散電源(太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電源など)の活用を進めることなどを目的とした、主に供給側の取り組みを指す用語として使われることが一般的になってきた。

 一方、電力を利用する需要側の取り組みについては、情報通信技術(ICT)を活用して、さまざまな取り組みを行う範囲ごとに新しい用語が使われるようになった。例えば、商業施設や産業施設向けの取り組みは「スマートビルディング」などと呼ばれ、地域や都市向けの取り組みは「スマートシティ」や「スマートコミュニティ」と呼ばれるといったようなものである。

〔2〕コネクテッドホームという言葉の定義

 この中でも、早い段階から注目されていたのが需要家の住宅向けの取り組みである。そのような取り組みは「スマートハウス」や「スマートホーム」と呼ばれるものである。欧米では、「コネクテッドホーム」という用語も聞かれるようになってきており、これは、文字どおり「つながっている家」である。つまり、インターネットを介して家の中や外を問わず、家の周辺にあるさまざまな機器や要素がつながっている状態の家を指すのが、この「コネクテッドホーム」という言葉である。

 また、最近ではIoT(Internet of Things)という言葉をいろいろなところで見かけることが増えてきた。これはインターネットにあらゆるモノ(Things)がつながるようになってきた、最近の動向を総称している言葉である。このようにあらゆるものがインターネットにつながるようになった結果、大きな影響を受けているのが私たちが生活している家(ホーム)なのである。

 GSMA(GSMアソシエーション)が公開している“GSMA: The Impact of the Internet of Things - The Connected Home”注1の中では、次のように定義されている。

 「コネクテッドホームは、セキュリティシステムやエネルギーメーター、家電製品、ウェアラブル機器、消費者向けヘルスケア機器、コネクテッド・カーが無線や有線によって接続されて使われるようになってきたものを指す」

 この定義にあるように、コネクテッドホームとは、さまざまな要素が家を中心にインターネットを介して接続される世界のことを指している。これによって、私たちが生活をする家自体がスマートになり、便利になるだけでなく、私たちが自動車を運転している間や家にいないときでさえも、これまでには実現できなかったような新たな価値を享受できる可能性が現実のものとなりつつあるのである。


▼ 注1
http://www.gsma.com/connectedliving/wp-content/uploads/2015/02/Connected-Living-Report-Impact-of-IoT.pdf参照。

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