[クローズアップ]

スマートハウスのプラットフォームを狙うNest LabsとGoogleの戦略

2014/08/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

Googleによる買収と新たな動き

そのような取り組みの大きな転機となったのが、GoogleによるNest買収である。Googleは、2014年1月13日、Nestを32億ドル(約3,200億円;1ドル100円換算)で買収することを発表した。
 
このGoogleによるNestの買収は2つの点で興味深い。
 
〔1〕Apple出身者が多いNest
 
1つめは、経営陣にApple出身者が多いNestが、いわば競合であるGoogleの傘下に入ることになったという点である。
 
Apple出身者が多いとはいえ、Googleによって買収される前から、Nestは自社製品対応のアプリをAppleのiOSに限定するようなことはせず、GoogleのAndroidにも対応していた。逆に、Googleに買収された現在、iOS対応アプリを引き下げるようなことはしていないが、AppleがHomeKitをリリースし、スマートハウス戦略を固めてきたなか、Googleの対抗策が元Appleの創業者らによる製品だというのは不思議な感覚を覚える。
 
 
〔2〕Googleが「再び」スマートハウス関連ビジネスを
 
もう1つの興味深い点は、Nestの買収によりGoogleが再びスマートハウス関連のビジネスに取り組みきっかけができたということである。
 
Googleは、2009年2月にGoogle Power-Meter(パワーメーター)という製品によってスマートハウスビジネスに参入した。Google PowerMeterは、ユーザーの電力消費量を「見える化」するためのツールであったが、ユーティリティ(電力会社およびガス会社)との提携が思ったように進まず、見える化するためのデータの取得が難しかったことなどもあり、2年後の2011年6月にこの分野のビジネスから撤退している。
 
その後、スマートハウス関連のビジネス環境も大きく変わってきている今、Googleがどのような形で再参入をするのかが注目されていた。そのようななか、Nestを買収することで、同社の製品を軸に改めてスマートハウス関連のビジネスに取り組む土壌が整ったと言える。
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