NB-IoTを運用する場合の3つのシナリオ
次に、NB-IoTが使用するチャネル帯域幅を200kHzとして、GSM(2G)が使用していた周波数の跡地、つまりGSMサービスを停止してその周波数を使用する場合、あるいは既存のLTEの帯域内やガードバンド注7を使用する場合については、どのように運用されるかを見てみよう。
表1は、NB-IoTを実際に運用する場合の周波数の利用シナリオのイメージである。
表1 LTEをベースとするNB-IoT運用の3つのシナリオ
PRB:Physical Resource Block、LTEにおける無線周波数(無線リソース)の割当て単位のこと
出所 エリクソン・ジャパン「LPWAの技術と市場動向」、2016年10月11日
〔1〕GSMの跡地を利用する形態
表1の1の運用形態は、主にGSMの跡地を利用する形態である。すなわち、GSM(2G)がこれまで使用していた周波数(跡地)をLTEベースのNB-IoTが利用する形態である。
これは中国などのGSM普及国における導入が想定されるシナリオで、周波数帯は850/900MHz帯など、主に1GHz以下の周波数帯(サブギガ帯)が想定されている。他のシステムと共用しないので単独運用と言われる(注:結果として、これによってGSMをLTEに移行させることが可能になる)。
日本や米国、欧州の一部の国など、LTEが広く普及している国では、主に表1の2、場合によっては3に示す運用形態が想定されている。
〔2〕LTE帯域内で供用する形態
表1の2の運用形態は、LTEで使用している周波数帯域内(インバンド:最大20MHz幅内)で、NB-IoT用に、LTE帯域幅の1PRB(表1参照)に相当する200kHz幅(実質は180kHz幅)を割り当てて通信を行う。すなわち、LTEと共存させて運用する形態である。
〔3〕LTEのガードバンドを利用する形態
表1の3の運用形態は、既存のLTEで使用される帯域に隣接している運用帯域間のガードバンドのスペースに、200kHz幅を割り当ててNB-IoT通信を行う形態である。
以上のような項目について、リリース13ではすべて仕様化が完了し、標準化されている。
▼ 注7
ガードバンド:無線通信システムにおいて、隣接する周波数帯域との干渉を防ぐために設けられる未使用の周波数帯域のこと。