CEMSの役割:「平常時」と「非常時」
〔1〕地域全体の電力状況を制御するCEMS注10
図5は、CEMSを核にした「東松島市スマート防災エコタウン」全体のシステム構成図である。図5のCEMSの上部には、既存の東北電力の電力網がある。将来的には、これに東松島市内の各所にある、地域低炭素発電所(市内各所のごみ焼却所発電やメガソーラーなど)が接続され、CEMSの受変電設備に送られることも想定している。
図5 CEMSを核にした「東松島市スマート防災エコタウン」のシステム構成
出所 「再エネを地域で活かし使う~東松島市の挑戦~」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21
また、CEMSには前述した各種設備や発電設備が接続され、地域全体の電力状況を制御している。
〔2〕CEMSの基本的な機能
図6に、「平常時」と「非常時」におけるCEMSの基本的な機能を示す。
図6 CEMS(Community Energy Management System)の機能
出所 「再エネを地域で活かし使う~東松島市の挑戦~」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21
「平常時」は、スマートメーターによって電力量を計測(リアルタイム30分値)し、
①エリア全体・個別の電力見える化(図7)
図7 電力利用状況の見える化システム画面(非常時)例
出所 「再エネを地域で活かし使う〜東松島市の挑戦〜」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21
②個別機器の発電量・需要量の測定と電気事業者へのデータ送付
③蓄電池の充放電によるピークカット
などを行う。
一方「非常時」には、公共の系統が停電した際、エリア内でバイオディーゼルを起動し、蓄電池や太陽光発電とともに電力の需給バランスを制御する。
〔3〕「非常時」のレベル別給電のイメージ
図8に、非常時におけるレベル別の需要と供給について3つの給電イメージを示す。
図8 非常時のレベル別給電イメージ
出所 「再エネを地域で活かし使う~東松島市の挑戦~」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21
- 一時的な停電事故の場合の対応は、普段通りの電力供給(ディーゼル、太陽光、蓄電池などを併用)を行う。
- 災害時(数日単位の停電)の初期には、戸建住宅70戸、集合住宅15戸すべて電力の供給を停止し、ディーゼル(焚き減らし)と太陽光と蓄電池で対応する。
- 災害時(数日単位の停電)終盤には、大規模病院や公共施設に設置されている自家発電を動かし、住民の避難場所となる集会所には電力を供給できるようにする。
なお、ディーゼル用の燃料は約1万リットルを用意しているので、最低でも3日間は最低限の電力を供給できるようになっている。
▼ 注10
CEMS:Community Energy Management System、地域エネルギー管理システム。地域レベルで電力の需要と供給の管理を行い、最適に制御を行うシステム。