[特集]

VPP・マイクログリッドで実現する「東松島市スマート防災エコタウン」

― CEMSで街の電力を最適制御し地産地消を実現 ―
2016/12/13
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

CEMSの役割:「平常時」と「非常時」

〔1〕地域全体の電力状況を制御するCEMS注10

 図5は、CEMSを核にした「東松島市スマート防災エコタウン」全体のシステム構成図である。図5のCEMSの上部には、既存の東北電力の電力網がある。将来的には、これに東松島市内の各所にある、地域低炭素発電所(市内各所のごみ焼却所発電やメガソーラーなど)が接続され、CEMSの受変電設備に送られることも想定している。

図5 CEMSを核にした「東松島市スマート防災エコタウン」のシステム構成

図5 CEMSを核にした「東松島市スマート防災エコタウン」のシステム構成

出所 「再エネを地域で活かし使う~東松島市の挑戦~」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21

 また、CEMSには前述した各種設備や発電設備が接続され、地域全体の電力状況を制御している。

〔2〕CEMSの基本的な機能

 図6に、「平常時」と「非常時」におけるCEMSの基本的な機能を示す。

図6 CEMS(Community Energy Management System)の機能

〓

出所 「再エネを地域で活かし使う~東松島市の挑戦~」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21

 「平常時」は、スマートメーターによって電力量を計測(リアルタイム30分値)し、

①エリア全体・個別の電力見える化(図7)

図7 電力利用状況の見える化システム画面(非常時)例

図7 電力利用状況の見える化システム画面(非常時)例

出所 「再エネを地域で活かし使う〜東松島市の挑戦〜」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21

②個別機器の発電量・需要量の測定と電気事業者へのデータ送付

③蓄電池の充放電によるピークカット

などを行う。

 一方「非常時」には、公共の系統が停電した際、エリア内でバイオディーゼルを起動し、蓄電池や太陽光発電とともに電力の需給バランスを制御する。

〔3〕「非常時」のレベル別給電のイメージ

 図8に、非常時におけるレベル別の需要と供給について3つの給電イメージを示す。

図8 非常時のレベル別給電イメージ

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出所 「再エネを地域で活かし使う~東松島市の挑戦~」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21

  1. 一時的な停電事故の場合の対応は、普段通りの電力供給(ディーゼル、太陽光、蓄電池などを併用)を行う。
  2. 災害時(数日単位の停電)の初期には、戸建住宅70戸、集合住宅15戸すべて電力の供給を停止し、ディーゼル(焚き減らし)と太陽光と蓄電池で対応する。
  3. 災害時(数日単位の停電)終盤には、大規模病院や公共施設に設置されている自家発電を動かし、住民の避難場所となる集会所には電力を供給できるようにする。

 なお、ディーゼル用の燃料は約1万リットルを用意しているので、最低でも3日間は最低限の電力を供給できるようになっている。


▼ 注10
CEMS:Community Energy Management System、地域エネルギー管理システム。地域レベルで電力の需要と供給の管理を行い、最適に制御を行うシステム。

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