[特集]

200GWの導入を目指す太陽光発電の「2050年長期ビジョン」

― 太陽光発電協会が公開! 2019年問題と2032年問題にも言及 ―
2017/08/10
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

世界と日本の太陽光発電導入の動向

〔1〕2016年末の世界の累積設置量は303GW

 次に、世界の太陽光発電導入の現状と日本の動向を見てみよう。

 国際エネルギー機関であるIEA PVPSが発表した「Snapshot 2016」注4によると、世界の太陽光発電の2016年の設置量は、PVPS加盟国で74.4GW(74,400MW)である。これに、その他アフリカ、ラテンアメリカなどの1GWを加えると世界全体で75.4GW(75,400MW)となるが、これは2015年に比べると47%もの伸び率となっている。

 図3に、主要国の太陽電池の設置量の推移を示す。図3から、かつて世界の市場をけん引した欧州と日本に代わり、中国と米国が急成長していることがわかる。特に中国は34.54GW(34,540MW)、累積でも78GWと、世界一の導入量となっている。

図3 世界の太陽電池設置量の推移(2006〜2016年)

図3 世界の太陽電池設置量の推移(2006〜2016年)

出所 一般社団法人 太陽光発電協会:「JPEA PV OUTLOOK〜 太陽光発電2050年の黎明 〜」、2017年6月

 図4に、主要国別に太陽光発電の累積設置量と、これに占める2016年(単年)の設置量を示している。

図4 主要国別 2016単年の太陽光発電の累積設置量

図4 主要国別 2016単年の太陽光発電の累積設置量

出所 一般社団法人 太陽光発電協会:「JPEA PV OUTLOOK〜 太陽光発電2050年の黎明 〜」、2017年6月

 2016年末の世界の累積設置量は303GWとなったが、これは前述したIEA PVPSの速報によると、世界の総電力需要の1.8%に相当すると推定されている。また、国別の電力消費に占める太陽光発電由来電気の比率では、理論的(設置容量と日射量により推定)に見ると、ホンジュラス(12.5%)が第1位で、続いてギリシャ(7.4%)、イタリア(7.3%)、ドイツ(7.0%)、第5位は日本(4.9%)となっている。中国は第19位(1.8%)となっている。

〔2〕日本の太陽光発電の設備認定の状況

 日本における太陽光発電の設備認定容量と導入量の現状を図5に示すとともに、両者の差を見てみよう。

図5 日本における太陽光発電の設備認定量と導入量の比較

図5 日本における太陽光発電の設備認定量と導入量の比較

出所 一般社団法人 太陽光発電協会:「JPEA PV OUTLOOK〜 太陽光発電2050年の黎明 〜」、2017年6月

 平成28(2016)年12月末における「設備認定容量と導入認定量との差」は、図5の右側に示すように約49GW(4,900万kW)程度ある。

 2016年12月末時点で、累積の設備認定量は80.8GW(8,080万kW)であり、導入量(稼働量)は約 37GW(3,700万kW)となっている〔図5右側の32.0GW+移行5.0GW(FIT導入前の導入量)〕。この約3,700万kWという数値は、日本の9電力の発電設備容量が約1億9千万kWである注5ことと比べると、その導入設備容量は約20%に匹敵するものになっている。

 FIT法の改正は、制度の健全な運用を目指して行われている。このためここで重要なポイントは、前出の49GWには、過去の未稼働案件が多く含まれている点である。過去の認定済み案件であっても、平成29年度(2017年4月)以降は、FIT改正によって、電力会社との接続契約が締結されていない場合は、その設備認定が失効となることである。

 図5右側に示すように、太陽光発電協会では、設備が「認定済みで稼働に至っていない容量約49GW」のうち、20〜27.7GWが失効し、21〜29GWが新認定に移行すると見ている。このため、FIT改正に伴って、2012年7月〜2016年12月の累積導入量は、図5右上の赤字に示す「58〜66GW」(=「37GW」+「21〜29GW」)になると見ている。


▼ 注4
IEA PVPS:International Energy Agency Photovoltaic Power Systems Programme、国際エネルギー機関の太陽光発電システムプログラム委員会。IEA内に1993年に設立。参加国は31カ国(2017年7月現在)。
“2016 Snapshot of Global Photovoltaic Markets”、Report IEA PVPS T1-31:2017

▼ 注5
「経済産業省 統計 平成28.12 発電所数・出力」より

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