世界風力会議(GWEC)のプロフィール
写真1 Global Wind 2016 Report
世界80カ国から1500社・団体以上のメンバーが参加する、風力発電の国際的な業界団体である世界風力会議(GWEC:Global Wind Energy Council、表1)は、最新の2016年度の年間報告書“Global Wind 2016 Report”を、2017年4月25日に発表した(写真1)注1。これに続いて、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)も、2017年6月30日に、日本における風力発電設備・導入実績を発表した注2。
表1 GWEC(世界風力会議)のプロフィール
出所 http://www.gwec.net/をもとに編集部で作成
〔1〕陸上風力と洋上風力の違い
太陽光発電(直流発電)と並んで再エネの代表的な風力発電(交流発電)は、国際的にも図1に示すように、
- 陸上風力発電(Wind Power Gene-ration、オンショア)
- 洋上風力発電(Offshore Wind Power Generation、オフショア)
の両面から普及が加速している。
図1 風力発電における陸上風力発電と洋上風力発電
(※1)浮体式:洋上風力には、着床式と浮体式がある。着床式は海底に直接基礎を設置する方式。 浮体式は、洋上に浮かんだ浮体式構造物を利用する風力発電方式である。なお、水深50m程度を超えると着床式ではコストが割高となるので、水深50〜200m程度の海域では浮体式風力発電機がコスト的に有利になると言われている。
出所 http://sgforum.impress.co.jp/article/262
ここで、陸上風力発電(写真2)と洋上風力発電のシステム上の違いを見ていこう。
写真2 ブラジルの海辺で稼働する陸上風力発電ファーム
出所 GWEC:Wind power photos worldwide(Brazilian Wind Power Association (ABEEólica))
陸上風力発電の場合、基本的に、通常の火力発電や水力発電と同じような電力システム(発電‐地下送電線‐陸上変電所)となっている(昇圧して送る注3)。
これに対して、洋上風力発電の場合は、発電電圧(例:交流600〜700V程度)を同一の洋上風力発電所内で6,600Vに昇圧して、海底送電ケーブルで陸上に送電する。また、沖合30㎞以上に設置する場合には送電距離が長くなるため、海底送電ケーブルによる熱損失を防ぐ必要があり、昇圧(例:2万2,000Vに電圧を上げる)するために、洋上変電所が必要となり、設置コストが高くなる傾向がある(最近は解消されてきている)。
これが、両者の大きな違いである。
〔2〕設備利用率:陸上風力は20%、洋上風力は30%
また、設備利用率の面から見ると、表2に示すように、風力発電所の設備利用率は、基本的に夜間は稼働しない太陽光発電の15%(10〜15%。年々向上している)に比べて、陸上風力は20%(風速6m/s)、洋上風力は30%(風速7m/s)と高い。このため、立地可能領域が広く、風況のよい洋上風力のほうが陸上風力よりも50%多い発電量を得ることが可能となっている。
表2 発電設備における設備利用率と設備稼働率の違い
出所 各種資料をもとに編集部作成
▼ 注1
http://www.gwec.net/strong-outlook-for-wind-power/