累積導入容量は500GWへ:前年比12.5%も拡大
次に、世界風力会議(GWEC)が発表した最新の2016年度の年間報告書“Global Wind 2016 Report”を見ながら、世界の風力発電の動向を見ていく。
〔1〕第1位のアジア地域は204GWへ
まず、世界全体の風力発電の導入状況を見ていこう。
図2、表3は、国別に見る全世界の風力発電の導入状況(単位:MW)である。2016年末には、前年(2015年)よりも新たに54.6GWも増加し、全世界の累積発電設備容量(GW)では約500GW(正確には、487GW=486,790MW)と、導入率では前年(432,680MW)比で12.5%も市場を拡大し、100万kWの大型火力発電500基分に相当する風力発電が稼働している注4。
表3 地域別・国別に見る世界の風力発電の導入状況(2016年、単位:MW)
1 Algeria, Cape Verde, Iran, Israel, Kenya, Libya, Nigeria
2 Bangladesh, Mongolia, Sri Lanka, Vietnam
3 Bulgaria, Cyprus, Czech Republic, Estonia, Finland, Faroe Islands, FYROM, Hungary, Iceland, Latvia, Liechtenstein, Lithuania, Luxembourg, Malta, Norway, Romania, Russia, Switzerland, Slovakia, Slovenia, Ukraine
4 Austria, Belgium, Bulgaria, Cyprus, Croatia, Czech Republic, Denmark, Estonia, Finland, France, Germany, Greece, Hungary, Ireland, Italy, Latvia, Lithuania, Luxembourg, Malta, Netherlands, Poland, Portugal, Romania, Slovakia, Slovenia, Spain, Sweden, UK
5 Caribbean: Aruba, Bonaire, Curacao, Cuba, Dominica, Guadalupe, Jamaica, Martinica, Granada, St. Kitts and Nevis
6 Bolivia, Colombia, Ecuador, Guatemala, Nicaragua, Venezuela
Note: Project decommissioning of approximately 520 MW and rounding affect the final sums
* Projects fully commissioned, grid connections pending in some cases
出所 http://www.gwec.net/global-figures/graphs/
http://www.gwec.net/wp-content/uploads/2012/06/Global-Installed-Wind-Power-Capacity-MW-%E2%80%93-Regional-Distribution-1.jpg
図2 国別にみる世界における風力発電の累積導入容量の状況
表3に示すように、地域的に見ると、第1位のアジア地域が204GW、第2位の欧州が161MW、第3位の北米97GWであり、アジア地域が勢いを増して広く導入されていることがわかる。とりわけ中国は、1国で169GWと、これまで先行していた欧州勢の合計(161GW)よりも多く稼働していることが注目される。日本は、3GW(3,234MW、0.7%)であり19位であった。
図3に、世界の年ごとの風力発電の導入容量の推移(2001〜2016年、単位:MW)を、図4に、世界の風力発電の累積導入容量の推移(2001〜2016年、単位:MW)を示す。
図3 世界の年ごとの風力発電の導入容量の推移(2001年〜2016年、単位:MW)
図4 世界の風力発電の累積導入容量の推移(2001〜2016年、単位:MW)
なお、2016年は中国市場の停滞などの影響から、世界の導入量は、前年(2015年)比で14%減の54.6GWであった。
▼ 注4
風力発電500GW:100万kW(=1GW)の大型火力発電500基分に相当する規模。ただし、火力発電の設備利用利が80%であるのに対して、陸上風力が20%、洋上風力が30%の設備利用率であることに留意。