[特集]

2050年に向けて天然ガス・再エネの導入を加速する米国の最新エネルギー事情

― トランプ大統領「パリ協定」離脱表明後の実情 ―
2017/09/20
(水)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

米国における電源別発電コストの比較

 表4は、DOE内で調査・統計情報などを担当する組織EIA(米国のエネルギー省エネルギー情報局)から公表されている、『年間エネルギー見通し2017』(Annual Energy Outlook 2017)をもとに、電源別発電コストの比較を示したものである。表4に示す、均等化総発電コストとは、2022年に稼働予定の発電所について、運転期間中に必要となる総費用を、総発電量で割ることによって得られる発電コストのことである。

表4 電源別発電コストの比較(ドル/1,000kWh)

表4 電源別発電コストの比較(ドル/1,000kWh)

※1 発電コストは、2022年に稼働予定の発電所を対象とし、運転期間中の総発電量に対する総費用(現在価格)。
※2 燃料費は維持管理コストの変動費に含まれる。
※3 数値は全米平均であり、実際の発電コストは立地場所で異なる。 CC:Combined Cycle、コンバインド・サイクル発電
出所 Annual Energy Outlook 2017、January 5, 2017、https://www.eia.gov/outlooks/aeo/pdf/electricity_generation.pdfより作成

【均等化総発電コスト】=【運転期間中に必要な総費用】÷【総発電量】

 この均等化総発電コストを基準に、各電源別発電コスト(単位:ドル/1,000kWh)を安い順に見てみると、

  1. 地熱発電:44.0
  2. 天然ガス(改良型CC):53.8
  3. 陸上風力:55.8
  4. 天然ガス(従来型CC):58.6
  5. 水力:63.9
  6. 太陽光:73.7
  7. 原子力(改良型):96.2
  8. バイオマス:97.7

となっている。米国では、シェールガス革命によって、安価で投資リスクの少ない天然ガス火力発電所の建設が増加し、天然ガスシェアが上昇する傾向にある。

 また、2017年1月末現在、米国内では30州62サイトで99基(PWR65基、BWR34基)、設備容量約9,906.2万kWの原子力発電所が稼働しており、原子力による発電電力量は、1988年以降総発電量の約20%(図5参照)を維持してベースロード電源となっていた。しかし、従来、非常に割安といわれていた原子力は、諸問題(核燃料処理、廃炉処理等)を含めてトータルに見ると、コストが高いと評価されるようになってきた。一方、再エネについては、普及に伴って次第に安くなってきている。

図5 米国における発電電力量に占める電源別の構成比(%)の推移(1950~2016年)

図5 米国における発電電力量に占める電源別の構成比(%)の推移(1950~2016年)

出所 Energy Information Administration、米国エネルギー省エネルギー情報局 Electrical generation by sources 1950-2016

関連記事
新刊情報
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...
5Gの技術からビジネスまですべてがわかる 5Gは社会や産業に何をもたらすのか? といったビジネス関連のトピックから、その変革はどのようなテクノロジーに支えられているのか?といった技術的な内容まで、わ...
本書は、特に産業用の5G/IoTの利用について焦点を当て、MWC19 Barcelona での産業用IoTに関する最新動向や、国内外の最新動向の取材をもとに、5Gの市場動向やビジネスモデルをまとめた解...