IoTデバイスは2023年に300億個へ
図4は、今後ネットワークに大量に接続されるデバイス数の推移(2017〜2023年)を、通信機器の国際的ベンダであるエリクソンが2017年11月に予測したものである。
図4 IoTデバイスの接続数の増加予測:2023年にはIoTデバイスが200億個、広域IoTデバイスは24億個
CAGR:Compound Annual Growth Rate、複利計算によって求めた年平均成長率
出所 「Ericsson Mobility Report」、NOVEMBER 2017
この図からわかるように、接続デバイス数は、2017年の合計175億個に対し、2023年には全世界で合計316億個と80%も増加すると予測されている。そのうち、
- 広域IoTデバイスが24億個
- 短距離IoTデバイスが174億個
となっており、約200億個(24億個+174億個)のうち、24億個の広域IoTデバイスがLPWA(セルラーLPWAと非セルラーLPWA)に接続されるが、その広域IoTデバイスのCAGR(年平均成長率)は26%と高くなっている。
また、同レポートでは、2017年末時点では5億個がセルラーLPWAに接続されるが、2023年には75%に相当する18億個(24億個×0.75)がセルラーLPWAに接続されると予測されている注6。
一方、174億個のIoTデバイスは、既存のBluetoothやZigBee、Wi-Fiなどの短距離ネットワーク(通信距離100m程度)を利用して接続されるが、そのCAGRはLPWAに比べて若干低いものの、引き続き接続数を伸ばし、18%と高い数字となっている。
KDDIが日本初のセルラーLPWA(LTE-M)サービスを開始へ
IoT向けに特化した低消費電力型の広域無線ネットワークLPWAについては、本誌でも広く紹介してきた注7。これらを整理すると、日本では、大きく、次の2つのタイプのLPWAのサービスが提供されている。
- 免許不要の920MHz周波数帯を使用する非セルラーLPWA(表5)
- 免許必要のLTE周波数帯を使用するセルラーLPWA(表6)
(1)に示す非セルラーLPWAは、すでに各社から商用サービスが開始されている(例えば、直近では、NTTドコモのLoRaWANサービスが提供開始注8)が、ここでは、KDDIから2017年11月16日に発表され2018年1月からサービスが開始される、日本初注9となる、3GPPのリリース13標準のセルラーLPWA「LTE-M」注10のサービスを紹介しよう。
表5 非セルラー方式LPWAの例(免許不要帯:920MHz帯を使用)
出所 エリクソン・ジャパン 藤岡 雅宣氏の「SEMICON Japan 2017」講演資料をもとに編集部作成
表6 セルラー方式LPWAの例(免許必要帯:LTE周波数帯を使用)
※1 Cat-M1は、eMTCやLTE-Mと呼ばれることもある。
※2 半2重通信(片方向・交互通信)の場合。
出所 エリクソン・ジャパン 藤岡 雅宣氏の「SEMICON Japan 2017」講演資料をもとに編集部作成
▼ 注6
「Ericsson Mobility Report」、NOVEMBER 2017、14ページ
▼ 注7
例えば、本誌2016年11月号および12月号「特集:台頭するIoT時代の次世代無線通信規格LPWAの全貌(前編/後編)」、2017年1月号「LoRaWAN」、2017年2月号「SIGFOX」、2017年7月号「ソニーのセキュアなLPWA」など。
▼ 注9
国際的には、すでに、米国のAT&Tやベライゾンをはじめドイツテレコム、ボーダフォン(スペイン)、テレストラ(豪州)、チャイナテレコム(中国)、KT(韓国)などでセルラーLPWAのサービスが開始されている。
▼ 注10
LTE-Mは、Cat-M1あるいはeMTCとも呼ばれる。前出の表1参照。