〔3〕重要となるIoTの活用でエネルギーを統合するアグリゲータの役割
スマートハウスに単にHEMSを導入して、居住者が自分でエネルギー制御を行うのではなく、例えば、太陽光パネルや蓄電池、エコキュートなどの再エネを作り出す機器の運用や管理の仕方を、新しく登場した「エネルギーリソースアグリゲータ」が、そのエリア全体のエネルギーアグリゲーション(IoTを活用したエネルギーの統合)を行いながら導入し実現していくことが求められる。
このような役割を行うのがアグリゲータ(図3の親アグリゲータ、リソースアグリゲータ)である。アグリゲータの役割は、新たなエネルギーのビジネス(ERAB)へ向けて、居住者(需要家)へエネルギーの使い方をアドバイスしたり、適切な月額の利用料を含めて提示したりするなどのサービスを行う。これらによって、エネルギーアグリゲーションビジネスが展開されることになる。
普及するIoTデバイスとスマートハウスを連携したエネルギービジネス
〔1〕新エネルギービジネス登場への期待
一方、スマートハウス/ホームにおいては、これまでの、
- HEMS機器を導入し、屋根に太陽光パネルを設置して
- 発電した電力を電力会社に売電することで需要家が収入を得る
というビジネスモデルは、日本では2019年度からのFITの終了により順次終了していく。
このため、2019年度以降は、需要家側のエネルギーリソースを束ねる(アグリゲート)ことによって、VPPとして市場取引や相対取引注2を通じた調整力注3として活用する、新たなエネルギービジネス(ERAB)の実現に向けて、市場が動き始めている。
■注2■
相対取引(あいたいとりひき):取引所などを介さず、売り手と買い手が直接に取引すること。取引価格も取引の方法も、当事者同士の交渉によって決まる。
■注3■
調整力:電力系統の需要と供給のバランスをとり、電力系統の安定化のために使用される電力。例えば、揚水発電を含む発電設備や電力貯蔵装置(蓄電池など)、デマンドレスポンス(DR)などが調整力の電力である。