[クローズアップ]

日本と中国が次世代EV急速充電の統一規格を共同開発へ

— チャデモ協議会と中国電力企業連合会が2020年をめざし調印 —
2018/09/01
(土)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

アジアが世界を動かそうとしている。日本と中国が、次世代の大容量EV(電気自動車)急速充電の統一規格を共同開発するというニュース(2018年8月28日)は、世界に大きな衝撃を与えた。CHAdeMO(チャデモ)方式(日本)、GB/T方式(中国)、コンボ方式(CSS。欧米)の3方式が対立する熾烈な国際競争が展開されている急速充電市場において、シェア87%で第1位の中国と7%で第2位の日本の連合をあわせると市場の94%となり、両国が共同する意義は高い。
ここでは、まず、中国から提案された大容量の急速充電規格900kWの統一規格提案を見ながら、中国によって評価された日本のCHAdeMO充電規格の特徴とプロトコルを紹介する。さらに、世界の3つの急速充電規格を比較した後、中国における自動車市場とEV市場を見ながら、中国政府が2019年1月から実施する「NEV(New Energy Vehicle)規制」戦略の一端を解説し、今後の展開を述べる。

中国からの提案:900kWの急速充電規格

 去る2018年8月28日、日本のチャデモ協議会(表1)と中国電力企業連合会は、中国からの提案(図1)を受け、次世代EV向けの、超高出力充電規格(1500V×600A=900kW)を共同で開発することに合意し、調印した。900kWは、現在普及している急速充電の10倍となる高出力規格である。

表1 CHAdeMO(チャデモ)協議会のプロフィール(敬称略)

表1 CHAdeMO(チャデモ)協議会のプロフィール(敬称略)

出所 https://www.chademo.com/wp2016/wp-content/japan-uploads/Brochure2017jp.pdf

 日中が共同で開発するこの次世代のEV急速充電統一規格は、2020年に向けて、EV乗用車だけでなくEVバスやEVトラックなどの大型車にも対応可能な、高出力の規格を策定する計画だ。

 すでに、急速充電規格では、表2に示すように、充電コネクタの規格や通信規格(CANかPLCを採用。後述)などの違いから、日本のCHAdeMO方式、中国のGB/T方式、欧米のコンボ(CCS:Combined Charging System)方式と、3つの規格が激しく競合しており、これにテスラ方式が加わった状況となっている。

表2 国際充電規格の普及状況(総台数:253,400基)

表2 国際充電規格の普及状況(総台数:253,400基)

※日独間では政府間および民間ベースで年2回程度の充電器規格に関する会合を開催。日中間では、CATARC(中国自動車技術研究センター)、CAAM(中国汽車工業協会)等と、CHAdeMO協議会、JARIが中心となり対話を実施。
出所 経済産業省「第2回 自動車新時代戦略会議」、自動車新時代戦略会議 中間整理 (案)、2018年7月24日

 表2からわかるように、2018年4月時点の世界の主な急速充電器設置数(総数は約253,400基)のうち、EVの普及で先行する中国のGB/T方式がおよそ22万基で、全体の87%を占めるのに対して、日本のCHAdeMO(チャデモ)はおよそ1万8,000基で7%、欧米は7,000基で3%となる。このため、日本と中国で規格を統一できれば、両国をあわせたシェアは94%(87%+7%)と90%を超え、圧倒的な占有率となる。もともと中国の「GB/T方式」は日本のCHAdeMO方式をベースに開発された経緯もあって親和性がよく、統一規格実現への期待は大きい。

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