国家電網有限公司(SGCC)のプロフィール
写真1 中国国家電網 副主任 史 明明(シ・ミンミン)氏
出所 編集部撮影
中国最大で、同時に世界最大でもある電力会社「国家電網有限公司(SGCC)」(表1)は、2002年12月に設立され、現在、163万人の従業員を擁し、年間3,875TWh(テラワット時)を販売する。送電線の総延長も98万7,000㎞(送電線による電力損失6.66%)という桁違いなスケールの企業で、中国国内では、11億人(中国国内の88%)に電気を提供している。
表1 国家電網有限公司(SGCC)のプロフィール
出所 各種資料より編集部作成
また、同社は世界で20カ国以上にオフィスをもち、40カ国以上で電力ビジネスを展開するグローバル企業でもあり、2018年のフォーチュン500のランキングでは、米国ウォルマートに次いで世界第2位注2にもなっている。
国家電網有限公司の新戦略
国家電網有限公司は、従来の電力販売中心の電気事業会社から、エネルギーインターコネクション(エネルギー相互接続)企業に全面的に移行するため、図1に示す3つの機能と、図2に示す2つのネットワーク(スマートグリッドを含むユビキタス電力IoTアーキテクチャ)を提唱し推進している注3。
図1 国家電網有限公司が目指す3つの機能
出所 Mingming SHI(SGCC)、「Developments of DC Transmission & Distribution Technology in China」、2019年6月4日
図2 国家電網有限公司の2つのネットワーク
ソフトウェアデフィニション端末:ソフトウェアによって仮想的な端末を作る技術のこと。具体的には、汎用的なハードウェア端末を利用目的に応じた専用端末としての機能をもたせるソフトウェア技術。
出所 Mingming SHI(SGCC)、「Developments of DC Transmission & Distribution Technology in China」、2019年6月4日
〔1〕国家電網有限公司の3つの機能
3つの機能とは、国家電網有限公司が、(1)エネルギーハブ(拠点)となり、(2)プラットフォーム(基盤)を整備し、それらを全体で共有する(3)シェアリング(共有機能)である。これらによって、競争力の強い、世界でトップクラスのエネルギー相互接続企業を目指している。
〔2〕国家電網有限公司の2つのネットワーク
国家電網有限公司の2つのネットワークとは、図2左の、新しい電力網を目指す強力なスマートグリッド(次世代電力網)の構築と、図2右の、AIや情報セキュリティを備え、分散エネルギー資源や負荷(エアコンや家電機器)などを制御するIoT網の構築である。
このような同社のスマートグリッド/IoT環境への移行は、今後、中国全土で展開されるスマートコミュニティの実現にも大きく貢献すると期待されている。
▼ 注1
NEDOが2019年6月4日に開催。講演テーマは以下の通り。
・中国国家電網有限公司 国網江蘇省電力有限公司電力科学研究院 新エネルギー・配電網技術室 副主任 史 明明(シ・ミンミン)氏、「中国における直流送配電技術の進展」