SDGsに関するモバイルの影響スコア
図4 2019 Mobile Industry Impact Reportの表紙
出所 https://www.gsmaintelligence.com/research/?file=a60d6541465e86561f37f0f77ebee0f7&download
「2019 Mobile Industry Impact Report: Sustainable Development Goals」(図4)では、このような取り組みが、SDGsの目標達成にどの程度貢献しているのかを、SDG mobile impact scores(持続可能な開発目標に関するモバイルの影響スコア)という指標を定めて定量的に示している。これによって、現在の取り組み状況を正確に把握し、今後のさらなる取り組みを促すことを目指している。このSDG mobile impact scoresの最新版(2018年版の評価)を示したものが図5である。
図5 SDG mobile impact scores 2018年版の評価
出所 「2019 Mobile Industry Impact Report: Sustainable Development Goals 」21ページ
図5は、時計の12時にあたる部分から目標1「貧困をなくそう」が始まり、表2に示すSDGsの17の目標を時計回りに配置し、それぞれのスコア(評価点)を示している。
表2 SDGsの17の目標とその概要
〔1〕5Gが貢献する「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
SDG mobile impact scoresでは、モバイル業界がSDGs達成のためにできる可能性があることすべてに取り組んでいる状態を100と定義し、その達成度合いを数値化している。
例えば、図5の目標1「貧困をなくそう」のスコアは39となっているが、これはモバイル業界が取り組めるすべての可能性のうち39%がすでに実現されていることを示している。
図5を見ると、もっともスコアが高い、言い換えれば目標達成に関する取り組みをもっとも積極的に行っているのが目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」であり、スコアは59となっている。
これは、ここまで5Gが他の産業分野のイノベーションに貢献すると紹介してきたことにつながる。
今後、5Gサービスがさまざまな産業分野で活用されることで、この目標のスコアはますます高まっていくだろう。
〔2〕「目標14:海の豊かさを守ろう」と「目標2:飢餓をゼロに」は今後更なる取り組みが必要
次いでスコアが高いのが、目標4「質の高い教育をみんなに」と目標11「住み続けられるまちづくりを」で、それぞれ45となっている。他にも、表1で具体的な貢献の取り組み例を紹介した目標13「気候変動に具体的な対策を」(スコア44)、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標10「人や国の不平等をなくそう」(スコア43)などが高い達成率となっている。逆に目標14「海の豊かさを守ろう」(スコア32)、目標2「飢餓をゼロに」(スコア33)は、まだ更なる取り組みが必要な目標だといえる。