5Gが産業分野にもたらすイノベーションの可能性
総務省による「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望注4」でも明らかにされているとおり、5Gをこれまでの3G、4Gの延長としてとらえてはいけない。
5Gの主要性能である「超高速(eMBB)」「同時大量接続(mMTC)」「超低遅延・高信頼(URLLC)」を踏まえると、5Gサービスが普及することで、単に通話や通信における性能が改善されるだけではなく、さまざまな産業分野でこれまでには実現できなかった(あるいは実現しにくかった)サービスを実現できる可能性が広がるのである。
先に紹介したGSMAの「The Mobile Economy 2019」では、2018年に91億台だったIoTの接続数が、2025年には約3倍の252億台にまで増えると予測している。
モバイル関連技術がSDGsに与える影響
このようなモバイル関連技術の発展がSDGsにもたらすものは何だろうか。GSMAは、モバイル業界がSDGsに及ぼす影響を分析し、その結果を「2019 Mobile Industry Impact Report: Sustainable Development Goals注5」(2019年9月公表)としてまとめている。
このレポートによると、モバイル業界自体によるSDGsの取り組みも重要であるものの、図3で示したように、最新のモバイル関連技術が他の産業分野で活用されることによって、SDGsの目標達成に貢献できる可能性があることが示されている。例えば、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に関して、モバイル関連技術を使うことで表1のようなサービスを実現できるとしている。
図3 5Gがもたらす産業への影響
表1 モバイル関連技術による気候変動対策への貢献
出所 「2019 Mobile Industry Impact Report: Sustainable Development Goals」をもとに筆者作成