[特集]

脱炭素社会に向けて市場拡大する洋上風力発電

― 2050年に風力全体は75GW、洋上風力は37GWへ ―
2020/04/12
(日)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

公益財団法人 自然エネルギー財団は、国際シンポジウム「REvision2020:自然エネルギーが脱炭素社会を実現する」(2020年3月4日)(注1)に続いて、「拡大する洋上風力発電と日本の可能性」(2020年3月6日、場所:東京:日比谷国際ビル コンファレンス スクエア)をテーマとしてメディアセミナーを開催した。
世界では、SDGsおよびパリ協定の実現に向けて再生可能エネルギー(再エネ)の導入が急ピッチで進んでいる。特に欧州では、火力発電所並みの大規模出力発電が可能な洋上風力発電が続々と建設され、商用運転が始まっている。日本でも、再エネの主力電源化を目指して、洋上風力発電導入への動きが活発化してきた。ここでは、一般社団法人 日本風力発電協会(JWPA)代表理事 加藤 仁(かとう じん)氏による講演を中心に、洋上風力発電の現状と課題をレポートする。

脱炭素社会実現に向けた動き

〔1〕地球温暖化と世界各地の異常気象

 2020年1月から地球温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」がスタートしたが、これに先立ち、2019年12月のCOP25では、温室効果ガス(CO2)の削減目標の見直しと引き上げが焦点となった。

 世界各地では異常気象が原因と考えられる自然災害が多発している。欧州では死亡者が出るほどの高温となり、オーストラリアでは大規模な森林火災、日本でも2019年の台風15号(9月)や19号(10月)による関東地方を中心とした洪水や家屋の倒壊、電力系統への甚大な被害をもたらした。

〔2〕次々に石炭火力発電が廃止へ

 このような深刻な気候危機を背景に、国際的に脱炭素社会の実現への取り組みが加速している。例えば、石炭火力発電はCO2排出量が他の化石燃料に比べて多いため、COP25でも課題の1つともなり、石炭火力発電を推進する日本は、世界から厳しい批判を受けた。

 国際的には2017年11月に、脱炭素社会に向けてPPCA(脱石炭連盟)注2が結成され、石炭からクリーンエネルギーへの移行が加速している。PPCAには、カナダや英国、フランス、イタリアなどの国をはじめ、地方政府(例:カリフォルニア州)や企業など、合計97のメンバーが加盟している。

 PPCAは、次のような内容の宣言文を発表している。

  1. 政府メンバーは、現存する従来型石炭火力発電を廃止し、その新規計画を停止する
  2. 企業メンバーは、石炭火力の電力を使わない
  3. すべてのメンバーは、クリーンな電力を、政策や投資で支援する

 このような動きを受けて、図1に示すように、英国やフランス、オランダなどの欧州諸国やカナダでは、遅くとも2030年までに、国内の石炭火力発電を廃止する計画を次々と発表している。

図1 欧州諸国で拡大する国内石炭火力発電の廃止に向けた動向と廃止年

図1 欧州諸国で拡大する国内石炭火力発電の廃止に向けた動向と廃止年

出所 加藤 仁、「日本の洋上風力発電の現状とその課題」、日本風力発電協会、2020年3月6日


▼ 注1
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、開催形態をウェビナー(Webセミナー)形式に変更し、オンラインで開催された。

▼ 注2
PPCA:Power Past Coal Alliance、脱石炭連盟。33の中央政府、27の準中央政府、37の企業または組織で構成されている(2019年12月10日現在)

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