国連による啓蒙と推進
〔1〕24/7 Carbon Free Energy Compact
24/7カーボンフリー電気の概念は、Googleの温室効果ガス削減の取り組みの中で生まれたが、これを教育啓蒙し、広く世界に普及させようとする動きがある。これが、国連が主導する24/7 Carbon Free Energy Compact(以下、24/7 CFE Compact)である注7。
国連のEnergy Compact(24/7に特化しない)とは、持続可能な開発目標(SDGs)17の目標のうち、第7の目標(「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」)の達成のために政府組織、自治体、企業、非営利組織などが定める、目標と時間軸が定義された自主的な取り組みである注8。2022年3月8日現在で164の組織が加盟している注9。
Energy Compactは、SDGs第7の目標を達成するための全体の枠組みであるが、24/7 CFEは電力システムの脱炭素化を目標とする切り口の1つとして位置づけられ、2021年から開始された。
〔2〕加盟組織は米国連連邦政府をはじめGoogleやMicrosoftなどのIT企業も
24/7 CFE Compactでは、表1に示す24/7 CFEの原則をまとめ、これに取り組む加盟組織を募っている。加盟組織は、温室効果ガス削減を目指す需要家だけではなく、エネルギー供給企業、24/7 CFEの仕組みの構築を行うIT企業、サービスプロバイダやその他関連組織も含まれている(著者が所属する米国のIT企業も加盟している)。
表1 24/7 CFEの原則
出所 https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/2021/09/principles_-_updated.pdfを著者翻訳
2022年5月現在の24/7 CFE Compactの加盟組織を図3に示す。
図3 国連の24/7 CFE Compactの加盟組織(2022年5月29日現在、66組織)
※加盟組織数は66と発表されているが、社名(ロゴ)の開示を行っているのは65組織である。
出所 https://gocarbonfree247.com/ (2022年5月5日アクセス時点)
図3に示す加盟組織の中で、実際に24/7の再エネ調達の目標を設定した、または取り組みを開始した主な需要家には、次のような組織がある。
国連の24/7 CFE Compactは、2021年9月に米国ニューヨークで行われたエネルギーに関するハイレベル対談(High Level Dialogue on Energy)において発足し、活動を開始したが、2022年5月現在も今後の活動について検討が進められている。普及策、ソリューション、優先順位などが2022年4月に議論され、今後の活動に、より細かい方向性が与えられる見込みである。
▼ 注7
正確には、Sustainable Energy for All, United Nations, UN Energy, High Level Dialogue on Energyが主導している。
▼ 注8
https://www.un.org/en/energycompacts
▼ 注9
2022年3月18日(日本時間)に実施された24/7 CEFウェビナー資料より。