【事例4】米Apple社:サプライチェーンでもCO2排出ゼロを推進
地球温暖化対策の取り組みで先進的な米国Appleは、2030年までに、Appleのサプライチェーンにおいて100%カーボンニュートラル(CO2排出ゼロ)の達成を目標としている。また、全世界のサプライヤーにも協力を要請(2020年7月)し、そのうち300社以上が賛同している(2023年9月時点)注8。その数は、Appleの直接製造費の支出先の実に90%以上にも相当する。すなわち、Appleと取引をしている大多数のサプライヤーがカーボンニュートラルに賛同し協力している状況だ。
ちなみに、同社と28カ国で事業を展開するそのサプライヤー(300社以上)が使用する再エネは、2023年9月時点で20GW以上に及んでいる。
またAppleは、製品のカーボンニュートラル化も進めている。2023年9月に発売したApple初のカーボンニュートラルな製品であるスマートウォッチ「Apple Watch Carbon Neutral Model」が大きな話題を呼んでいる。この「Apple Watch」は、図7に示すように、製造に100%クリーン電力(再エネ)が使われているほか、リサイクル素材の使用、輸送にCO2排出量の多い航空機を使わないというように、「電力」「素材」「輸送」に配慮がされている。同社では、同様の展開を、iPhoneやMacなど他の製品にも拡大していく予定だ。
「図8に示すように、Appleのサプライヤーは日本に大小含めて1000社ほどあり、前述したソニーやパナソニックもそれぞれその1社です。これらの日本企業が今後もAppleと事業を継続するには、CO2排出ゼロにして製造した製品を納入する必要があるのです」と、石田氏は注意を喚起した。(後編に続く)
図7 Apple初のカーボンニュートラルモデル「Apple Watch」の外観と特徴
[出典]Apple「Carbon Neutral」
出所 自然エネルギー財団 石田雅也、「2030年にCO2排出ゼロへ 先進企業の自然エネルギー(再エネ)調達」、(自然エネルギー3倍化セミナー)、2024年1月17日
図8 日本企業のAppleへのサプライヤーは大小含め約1,000社
[出典]Apple Newsroom、「Apple、日本のサプライヤーへの投資を加速:2018年以降1,000億ドル以上を支出」、2022年12月13日
出所 自然エネルギー財団 石田雅也、「2030年にCO2排出ゼロへ 先進企業の自然エネルギー(再エネ)調達」、(自然エネルギー3倍化セミナー)、2024年1月17日
注8:Apple Newsroom、「Apple、サプライヤークリーンエネルギーの取り組みを前進」、2023年9月12日