[特別レポート]

第2ステップの実証実験に突入した「フィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)」<前編>

マクニカ等3社が80枚のフィルム型PSCで1kWの発電を目指す
2024/12/25
(水)

日本発の新技術であり、また脱炭素時代を拓く次の“切り札”として、企業や国、自治体が一体となり開発が急がれている「ペロブスカイト太陽電池(PSC:Perovskite Solar Cell)」。社会実装のための取り組みがさまざまに行われており、その中の1つとして、株式会社マクニカをはじめ3社が2023年から神奈川県横浜市で実証実験を開始しており、すでに本サイトでもお伝えした。その第2ステップ(2年目)として、規模や内容をさらに発展させた実証実験が進められており、2024年11月12日、「ペロブスカイト太陽電池 環境省実証事業開始式」(写真1)が開催された。ここでは、その模様を前後編の2回に分けて紹介する。 前編では、ペロブスカイト太陽電池の発明者である横浜桐蔭大学特任教授/ペクセル・テクノロジーズ代表取締役社長 宮坂 力(みやさか つとむ)氏の講演を中心にレポートする。

写真1 神奈川県・横浜港大さん橋国際客船ターミナル 大さん橋ホールCIQプラザでの開所式の様子

開始式の登壇者:左から元環境省事務次官 中井 徳太郎氏、株式会社麗光 代表取締役社長 岩井 順一氏、株式会社マクニカ 代表取締役社長 原 一将氏、ペクセル・テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 宮坂 力氏(桐蔭横浜大学医用工学部特任教授)、環境省地球環境局 局長 土居 健太郎氏、横浜港運協会 会長 藤木 幸太氏(横浜市副市長 平原 敏英氏は公務のため途中で離席)。
出所 編集部撮影

写真2 2024年度の神奈川県・横浜港大さん橋の実証実験場(2024年11月12日)

ペロブスカイト太陽電池(横11枚×縦7~8段、発電出力:1kW程度。最終的には約80枚程度を設置予定)。比較のため、写真左側に従来の結晶シリコン型太陽電池も設置されている。
出所 編集部撮影

3カ年計画の2年目、今回は1kWの発電を目指す

 実証実験(写真2)は、環境省「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に採択されたもので、事業者は株式会社マクニカ(以下、マクニカ)と共同事業者であるペクセル・テクノロジーズ株式会社(以下、ペクセル・テクノロジーズ)、株式会社麗光(以下、麗光)の3社(表1)。
 実験テーマとして「港湾などの苛烈環境におけるPSC(Perovskite Solar Cell、ペロブスカイト太陽電池)の活用に関する技術開発」を掲げ、2023(令和5)年10月~2025年3月の3年間の予定で実施されている。
 初年度の2023年度は、すでに高湿度かつ塩害リスクのある苛烈環境下でのフィルム型ペロブスカイト太陽電池パネルの実証実験を実施。パネルに対する塩害調査のほか、発電効率の確認、発電関連システムの検証などを行っている。
 それらの結果をもとに、2年目となる今回はペロブスカイト太陽電池パネルの高効率化や容量拡大を目指す(図1)。開始式当日、マクニカのイノベーション戦略事業本部主席 阿部 博氏から、発表された実験概要は次の通り。

 実験の詳細については、後編で紹介する。

表1  ペロブスカイト太陽電池 環境省実証事業 参加企業3社とその役割(敬称略)

出所 各社企業情報をもとに編集部で作成

図1 実証に使用される交換が容易なシート型PSCパネルの大きさと構成

出所 桐蔭横浜大学 宮坂 力、「超軽量ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた開発」、2024年11月12日〔令和6年度 地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(港湾などの苛烈環境下における PSC の活用に関する技術開発)大さん橋 PSC 実証事業開始式より〕

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