RFIDの基礎と最新動向(6):YRPユビキタス・ネットワーキング研究所訪問レポート

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2006年12月14日 0:00

本連載「RFIDの基礎と最新動向」では、2006年から各種産業分野で本格的な運用事例が目立ちはじめたRFIDの基礎から応用例、最新動向までを取り扱います。第6回目は、身の回りのあらゆるモノに、通信能力を有するマイクロ・コンピューターやセンサーなどが埋め込まれ、それらが相互に情報交換を行いながら協調動作し、人間生活を高度にサポートするユビキタス・コンピューティング環境を構築するほか、その基盤となる次世代通信プロトコルを確立することを目的として設立された研究組織であるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所の訪問レポートです。同研究所の設立目的を一見すると、RFIDとは関連がなさそうに思えるかもしれませんが、ユビキタス・コンピューティング環境を構築するにあたって、RFIDは重要な要素です。

 

坂村健東京大学教授を中心として設立

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所( http://www.ubin.jp/ )は、2002年1月に、TRON(※1)の開発者である東京大学大学院 坂村健教授を所長として設立されました。坂村所長のもと、基盤システム研究室、基盤プロトコル研究室、セキュアネットワーキング研究室という3つの研究室を中心に、リアルタイム通信プロトコル、セキュリティ、超小型コンピュータ、ユーザーとの親和性、省リソース、超分散環境における協調処理、研究開発プラットフォームの構築といったテーマに取り組んでいます(各テーマの詳細や研究事例については、同研究所のWebサイトに情報があります)。

図1 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所の組織図


図1 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所の組織図
越塚登氏
越塚 登 副所長

また、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は、単独で活動するのではなく、T-EngineフォーラムユビキタスIDセンター社団法人トロン協会東京大学坂村研究室などの組織と連携して活動を展開しています。

例年12月には、TRONに関連する各種の成果や今後の姿が、展示や講演などで紹介される「TRONSHOW 」が開催され、RFIDを利用した実証実験やRFIDに関連する製品やサービスも紹介されています。

今回、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所の副所長で、東京大学大学院の助教授でもある越塚登氏(写真右)にお話をうかがうことができたので、その内容を紹介します(以下、敬称略)。

用語解説

※1 TRON:The Real-time Operating system Nucleus
坂村健教授によって提唱された、コンピュータ・アーキ テクチャで、自動車の燃料噴射システムや自動販売機、コピー機、CPUを内蔵している各種の家電製品といった「組込みシステム」で利用するためのオペレー ティング・システムとして大きなシェアを獲得している。TRONには、いくつかの種類があるが、組込みシステムでは、ITRON(Industrial TRON)とμITRONが利用される。TRONの開発環境として、T-Engineがあり、組込みシステム開発の標準化に貢献している。

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