[特集]

Q&Aで学ぶH.264/AVC(1):H.264とは? AVCとは?

2008/02/25
(月)
大久保 榮

このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
ブロードバンド時代の急速な進展を背景に、通信と放送の融合が注目され、本格的な画像コミュニケーション時代が到来しています。このような時代の要請に対応して、新しい「H.264/AVC」という画像圧縮技術が標準化され、国際的な注目を集めています。今回は、H.264/AVCとは何かについて解説します。

Q&Aで学ぶ基礎技術:最新の情報圧縮技術〔H.264/AVC〕編(1)

 

Q1

Q1:H.264とは? AVCとは?

情報圧縮技術「H.264/AVC(エッチ・ニー・ロク・ヨン/エー・ブイ・シー)」というのはどのような意味をもつ番号あるいは略語なのでしょうか。また、MPEG-4 AVC(エムペグ・フォー・エーブイ・シー)とはどんな関係があるのでしょうか。

A1

≪1≫H.264とは?

電気通信に関する国際標準化機関であるITU-T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector、国際電気通信連合-電気通信標準化部門)では、そこで作る標準(ITUでは標準のことを「勧告」と言う)の識別番号として、技術分野ごとに定められたAからZまでのアルファベット1文字とピリオド(.)の後ろに1~4桁の数字を加えたものを使用しています。数字は、ある程度体系化されています。

本書の対象であるH.264の「H」は、オーディオ・ビジュアル(AV)・マルチメディア・システムの分野を示します。200番台はシステムを構成する要素を、260番台はその中の動画像符号化(動画像圧縮符号化とも言う。後述)を示しています。

動画像圧縮符号化標準については、図1-1に、H.26x(x:1, 2, 3, 4)とMPEG-y(y:1, 2, 4, AVC)の標準の初版成立時期およびその定性的な圧縮符号化効率(圧縮度)を示します。

また表1-1に、これまでITU-Tで作成されてきた、HシリーズとしてのH.261(1990年)、H.262(1995年)、H.263(1996年)から最新のH.264(2003年)までのタイトルおよび概要を示します。


図1-1 ITU-TとMPEGの圧縮符号化標準制定の経過(クリックで拡大)

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