液体燃料を利用した次世代燃料電池が登場
写真1 液体燃料電池を家庭向け電源としての利用を想定
ダイハツ工業は、「コンパクト」「シンプル」「低コスト」を追求した次世代燃料電池(液体燃料)を、軽自動車を含むクルマから家電製品まで広がる未来のエネルギーとして紹介していた。
同社は、産業技術総合研究所と協力し、従来、燃料電池自動車の電極触媒材料として欠かせなかった貴金属(白金)をまったく使用せず、また、燃料には水加ヒドラジン注1を安全な状態にして使用することにより、CO2を排出しない燃料電池の新たな基礎技術を開発した(2007年公表)。この燃料電池技術では、「省資源、低コスト」「高出力」「燃料の安全かつ容易な取り扱い」が可能となる。燃料電池は、燃料と空気中の酸素を反応させて電気を作るが、燃料電池自動車は発電しながら走る電気自動車なので充電は不要となる。
このように同社の燃料電池は、液体燃料を使うことで次のようなメリットが期待できる。
- コンパクト、シンプル
液体から直接電気をつくるので、かさばる高圧タンクが不要となり軽自動車にもコンパクトに積むことができる。また、ガソリンと同じように補給が簡単に行える。 - 低コスト
多くの燃料電池自動車では指輪数十個分のプラチナを必要とするが、同社の燃料電池は高価なプラチナを使用しないで燃料電池を実現できる。 - クリーン
電気をつくる際に排出するのは水とチッ素だけなので、空気を汚さずクリーンで地球温暖化ガスも排出しない。
なお、商用化時期については、現時点では未定だが、スマートハウスの電源(写真1)として利用することも想定しており、多岐にわたった展開が期待できる。
非常用電源としても利用できるプラグインハイブリッドバス
日野自動車は、同社が長年にわたって培ってきたハイブリッドシステムに大容量のリチウムイオン電池を組み合わせ、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッドバスを展示。
外部への給電機能を備えており、災害時には避難所などへ電力供給できる。今回展示のバスは、平常時には「移動診療車」として地域医療に貢献し、万一の際には非常用電源(写真2)として活用できる。燃料(軽油)を補給することで長時間継続して給電でき、燃料タンク(100リットル)の軽油で次のように適用できる。
- 体育館の照明を30時間程度点灯することが可能
- 一般家庭の約25日分の電力供給が可能:1カ月あたりの消費電力を300kWhとした場合(電気事業連合会の発表に基づく)
- 約1,000台分のスマートフォンの充電が可能:1台あたりの電池容量を2,500mAhとした場合
写真2 外部電源からEVバイクへ充電している様子
▼ 注1
水素に変わる燃料電池の燃料。