国内初となる量産型のFC大型トラックを発売
日野自動車株式会社(以下、日野)は、国内初となる量産型の燃料電池(FC)大型トラックを2025年10月24日に発売する(図1)。トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)と共同開発したFCシステムを搭載し、約15~30分の水素充填で幹線輸送に実用的な650kmの走行が可能になるという。2025年9月17日に発表した。
図1 日野が2025年10月24日に発売する水素トラック「日野プロフィア Z FCV」の外観
出所 日野自動車株式会社 プレスリリース 2025年9月17日、「日野自動車、燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」新発売」
トヨタとFCシステムを共同開発
日野の「日野プロフィア Z FCV」は、日野の大型トラック「プロフィア」の高床3軸車をベースに開発された。パワートレインには、トヨタの乗用車「MIRAI」に採用されている固体高分子形FCスタックを大型商用車向けに改良したものを2基搭載するほか、交流同期電動機と駆動用のリチウムイオンバッテリーを組み合わせている。これに日野が培ってきた大型車・電動車の技術と走行制御を導入し、大型トラックに求められる耐久性と信頼性を確保したとする。高圧水素タンクを6基搭載し、約15~30分の水素充填で航続距離が650kmとなる。
車両のサイズは全長11990mm、全幅2490mm、全高3780mmで、総重量が25トン。シャシは燃料電池自動車(FCV)に最適化した専用設計とすることで荷台スペースを最大化しており、室内長が約8900mmで、積載量が約11600kg。ドライバンやウイングバンといった架装に対応する。乗車定員は2名。
生産は、同社の量産工場である古河工場(茨城県古河市)で、既存のディーゼル車と同じラインで混流生産される。これにより、FCVの普及期を見据えた生産体制を構築する。
販売は、車両の維持管理を含めたフルメンテナンスリース形式で提供される。これにより、初期投資や維持管理に関する負担を軽減し、電動車の安定的な稼働を支援する。当面は、経済産業省が定める「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」である福島県、東京都及び神奈川県、愛知県、兵庫県、福岡県を中心に販売を展開していく計画だ。
日野は、走行距離や積載物などに応じて最適なパワートレインを提供する「マルチパスウェイ」方針を掲げている。特に、十分な航続距離、積載量、短い燃料供給時間が求められる幹線輸送では、水素を燃料とする燃料電池車(FCV)が有効な選択肢であると考えている。
2023年には走行実証車を製作。アサヒグループジャパン株式会社、西濃運輸株式会社、トヨタ自動車株式会社、NEXT Logistics Japan株式会社、ヤマト運輸株式会社とともに、実際の物流業務で運用し、累計走行距離40万kmを超える走行実証を重ねてきた。今回の量産モデルは、この実証で得られた知見を活かして開発した。
参考サイト
日野自動車株式会社 プレスリリース 2025年9月17日、「日野自動車、燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」新発売」