[特集]

― 復興から発展へ ― 福島県相馬市の新総合計画と新ビジネスの可能性

2018/08/01
(水)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

東日本大震災(2011年3月11日)によって、甚大な被害を被った相馬市は、2026年度までの10 年間を見据えた新総合計画「相馬市マスタープラン2017」を策定した。また、復興計画バージョン3.1とともに、東日本大震災を「忘れてはならない」貴重な最新版のドキュメント『相馬市の記録「第8回中間報告」』も発行された。
ここでは、福島県相馬市 企画政策部長 宇佐見 清(うさみ きよし)氏への取材をもとに、復興から発展に向かう相馬市のダイナミックな取り組みを紹介する。

「忘れてはならない」貴重なドキュメント

〔1〕「相馬市マスタープラン2017」を策定

 東北地方の南部に位置する福島県の相馬市〔市長 立谷 秀清(たちや ひできよ)〕は、首都・東京から300kmの地点にある。太平洋に面しているところから、1年間の気温の差が少ない住みやすい気候の土地である。

 東日本大震災によって、死者450人以上、住宅被害5,500棟以上という甚大な被害を被った相馬市は、和風建築をイメージした相馬市役所の新市庁舎を、2016年10月に完成させた(写真1)。

写真1 和風建築をイメージした福島県相馬市の新市庁舎の外観

写真1 和風建築をイメージした福島県相馬市の新市庁舎の外観

出所 編集部撮影

 新市庁舎は、震災の教訓から、廊下は災害時の市民の避難所としても利用できるように広くなっており、平時は市民の絵画などの発表の場として利用されている(写真2)。また、非常用電源や配電盤など電力系統の設備は、水害による浸水を考慮して2階に設置されているなど、ユニークな造りになっている。

写真2 相馬市庁舎の廊下

写真2 相馬市庁舎の廊下

災害時に市民の避難所にもなるよう廊下は広くなっており、同時に市民の絵画などの作品展示場ともなっている。
出所 編集部撮影

 相馬市は、2017年2月、2026年度までの10年間を計画期間とした新総合計画「相馬市マスタープラン2017」注1を策定した。このマスタープランは、震災からの復興事業を推進するために策定した「相馬市復興計画(後述)」と、将来的にも安定した発展を続けられるよう作成された「相馬市地方創生総合戦略」を包含し、相馬市の将来像の実現に向けた全施策を取りまとめた総合計画となっている。

〔2〕「相馬市復興計画バージョン3.1」を続いて策定

写真3 「相馬市復興計画」(左)と 「東日本大震災 相馬市の記録「第8回中間報告」

写真3 「相馬市復興計画」(左)と 「東日本大震災 相馬市の記録「第8回中間報告」

出所 http://www.city.soma.fukushima.jp/0311_jishin/hukkou_keikaku_PDF/3-1/01.pdf
中間報告は相馬市提供資料

表1 相馬市復興計画(ver.3.1)のうち基本計画の目次

表1 相馬市復興計画(ver.3.1)のうち基本計画の目次

出所 https://www.city.soma.fukushima.jp/0311_jishin/hukkou_keikaku_PDF/3-1/02.pdf
https://www.city.soma.fukushima.jp/0311_jishin/hukkou_keikaku_6.html

 2017年には、東日本大震災から6年が経過した現状を踏まえ、これまで推進してきた相馬市復興計画に位置付けた、各事業の進捗状況の見直しや整理が行われた。これをもとに、今後、相馬市の力強い復興の推進と更なる発展を目指して、2017年8月28日に「相馬市復興計画バージョン3.1」(ver.3.1、写真3左および表1)が策定された。

 これは、新総合計画「相馬市マスタープラン2017」が目標とするまちの将来像を実現するため、同計画と同期させた「相馬市復興計画の最新版」として生まれ変わったものである。

 同時に、東日本大震災 相馬市の記録「第8回中間報告」が、相馬市災害対策本部よって作成され、2018年4月に発行された(写真3右)。これは、2011年3月11日〜2018年3月31日の7年間にわたる東日本大震災の「忘れてはならない」貴重な相馬市の軌跡である。


▼ 注1
https://www.city.soma.fukushima.jp/ugoki/master_plan/index_2017.html

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