M2M技術の6つのレイヤ構造とoneM2Mの標準化対応
ここで改めて、M2M技術の6つのM2Mレイヤ構造とoneM2Mの標準化活動の関係を整理してみよう(図1)。
〔1〕M2Mビジネスへの参入の障壁を下げる共通プラットフォーム
oneM2Mでは、各垂直統合型の各分野(例:プラットフォームやゲートウェイなど。図1のoneM2Mと赤字で示した部分)に対して共通の要素を取り出し、そこを標準化するという取り組みを行っている。すなわち、垂直構造型のビジネスに対して、横串を刺すようなビジネス展開ができることを目標に標準を策定するのが、oneM2Mのねらいなのである。
このような共通のM2Mプラットフォーム注4を定義し、それを例えば通信事業者あるいは各ベンダなどに共通プラットフォームとして提供されれば、M2Mビジネスを検討する企業の参入がしやすくなる。例えばM2Mプラットフォームの部分だけでも標準化され、共通の要素として提供されるようになれば、あとは自社でM2MアプリケーションやM2Mデバイスを用意すればよいことになる。このようなM2Mプラットフォームの標準化が、oneM2Mがめざす大きな目的なのである。
このように共通M2Mプラットフォームを標準化することによって、
- ビジネスコストの低減につながること
-
標準化されているため、国を越えて使えるようになるという、グローバルなインターオペラビリティ(相互接続性)が確立できること
の2点を可能にすることができる。
〔2〕ゲートウェイ(相互接続装置)
図1に示すように、ネットワークとM2Mデバイスの間には、
- M2Mデバイスから直接、広域的なネットワークにアクセスするケース
- M2Mデバイスが、ZigBeeやBlue-toothなどのM2Mエリアネットワーク注5を使用して、M2Mゲートウェイ注6を経由して、広域的なネットワークにアクセスするケース
の2通りがある。このM2Mゲートウェイについては、OMA注7やBBF注8の成果を利用して、oneM2Mでもそれらを使って標準化していく方針である。このように、M2MゲートウェイにおいてもoneM2Mの標準化のスコープ(範囲)に入っている。
〔3〕M2Mデバイス
M2Mデバイスの標準化については、なお検討する必要があるため、図1の下段には「oneM2M?」というように、クエスチョンマークを付けてあるが、現在はサスペンド(保留中)している状態となっている。
デバイスを標準化する、特にデバイスの中でもモジュールを標準化することに興味をもっていたのは、中国や韓国の通信機器ベンダや通信事業者などであったが、欧米勢には関心が薄く、ネガティブなコメントが多かったため、現在標準化に取り組むことについてはサスペンドせざるを得ない状況となっている。仮に標準化するにしても、まずはM2Mプラットフォームの標準化を推進し、デバイスについてはその後に検討するかどうかを決めようということになった。
なお、上位層のデバイスのマネジメントに関しては、すでにOMAではモバイル網のマネジメント、BBFでは固定網のマネジメントに関するプロトコルが作られている。そのような既存の成果をできるだけ利用して、かつ、既存の団体と協調し既存の成果物を活用し、標準化を進めていく方針である。
◆図1 出所
〔TTC oneM2M専門委員長 山崎徳和「oneM2M標準化動向その1(活動目的、スコープ、組織、これまでの成果)」、2014 年2 月5 日〕
▼注4
「共通基盤」あるいは「共通サービス」とも言われる。
▼注5
デバイスとしてセンサーが使われる場合にはセンサーネットワークとも呼ばれる。
▼注6
M2Mエリアネットワークと広域的ネットワークを相互接続する装置。
▼注7
OMA:Open Mobile Alliance、2002年6月に設立された、モバイルによるWebアプリケーションの技術標準化を目指す業界団体の名称。
▼注8
BBF:Broadband Forum、ブロードバンドネットワークサービスのビジネス展開を促進し、端末の相互接続性を確保するための仕様を検討する標準化組織。