自治体や他企業との連携
〔1〕横浜市とのサステナビリティに関する連携協定
イケア・ジャパンでは、先に述べた「ピープル・アンド・プラネット・ポジティブ」のコンセプトに基づいて、地域(コミュニティ)や他企業との連携にも積極的である。
2015年9月、IKEA港北と横浜市との間で、環境と調和した持続可能な社会作りをめざしていくことを目的として、3年間にわたってサステナビリティに関する連携協定を締結した。この協定では、次の4分野について連携する注12。
- 省エネルギー対策の推進に関すること
- 再生可能エネルギーなどの導入・利用拡大に関すること
- 地産地消および食育の推進に関すること
- その他、持続可能な社会をめざした取組に関すること
〔2〕移動式水素ステーションの設置とカーシェアリング
また、横浜市との連携協定の取り組みの1つとして、イケア港北敷地内にJXエネルギー株式会社(現JXTGエネルギー株式会社)の移動式水素ステーション(横浜IKEA港北水素ステーション)を、2016年2月23日に開所している(写真8)注13。商業施設ではイケアが初めての試みである。
写真8 横浜IKEA港北水素ステーション(イメージ)
出所 JXエネルギー(現JXTGエネルギー)報道資料より
さらに、CO2排出量削減の一環としてグローバルでも力を入れているものに、カーシェアリングの取り組みがある。イケア・ジャパンでは、タイムズ24株式会社(東京都・千代田区)が運用するカーシェアリングを、イケアの顧客向けに案内することも行っている。
Web登録している顧客メンバーに会員になってもらい、カーシェアリングして車に商品を積んで持ち帰ってもらうことも可能となっている。
サステナビリティ教育への取り組み
イケア・グループでは、サステナビリティ社会を目指して、さまざまな地域コミュニティへの取り組みやIKEA Foundation(イケア基金)をはじめとする社会活動を行っている。
日本でも、2年前にIKEA FAMILY子供募金を始めている。
これは、イケアの会員プログラム、入会費、年会費無料のメンバーシッププログラムで、IKEA FAMILYカードを毎回メンバーが購入時にレジで操作すると、10円が同募金に寄付される。2016年には3,400万円集まり、自治体と一緒に各ストアで、3,4施設くらいを選択し、合計27の施設の模様替えなどをして、約1,000人の子供たちに良い環境を与えられたという。
イケア・ジャパン内でもサステナビリティに関しての温度差があるため、いかにコワーカーに対してサステナビリティに対する意識を上げていくか、2017年度は全コワーカーのサステナビリティの意識と理解を高めることを進めていきたい、とマティ氏は言う。
「コワーカーひとりひとりの意識が高まることによって、サステナビリティあるいは省エネにつながるようなアイデアが生まれたらいいなと思っています」
* * *
スウェーデンでは、子供のころからサステナビリティという言葉を使わなくても、その意識が根付いていて習慣化されているという。イケア・ジャパンの託児所(0〜6歳)でも今後、サステナビリティ、つまり、子供たちに食育やごみの分別など、簡単なところから始めようと取り組んでいるという。
今やイケア商品は、若い世代を中心として日本でも非常に人気が高い。
パリ協定が発効され、世界各国が温室効果ガス(CO2)の削減目標を設定し、その実現に向けた取り組みが活発している中で、イケアは、地球温暖化対策やエネルギー(電力)に対して高い意識をもって商品開発をしている。若い世代には、イケアのこの取り組みをもっと認識してほしいと考える。
同時に、イケアが、2020年に再エネによるエネルギーの完全自給化を達成していくことに期待したい。
▼ 注12
http://www.ikea.com/jp/ja/about_ikea/newsitem/20151029_IKEA_and_Yokohama-city
▼ 注13
充填圧力は70MPa(メガパスカル)、70MPa(満タン)までの充填時間は約3分間。営業日は火・木曜日で、営業時間は11:00〜13:00。