1. スーパーコンピュータ「京」とは?計算科学の総合的研究施設の概要
スーパーコンピュータ「京」は、事業主体を文部科学省、開発および運用主体を理化学研究所として、10ペタフロップス注1、つまり毎秒1京回=10,000兆回以上の計算能力をもった、高性能スーパーコンピュータの開発と利用を目的として、2006年にプロジェクトが開始された。
同施設(建屋)は2008年3月に工事が着手され、2010年5月に竣工された。そして翌2011年4月より部分運用が開始され、現在に至っている(表1、図1)。
その間、2011年に世界最速を達成し、2014年6月には「TOP500」において世界第4位となっているが、CPU利用時間内のうちのCPUが演算を行っている割合、あるいは、理論上の最大性能のうち、実際に発揮できる性能は93.2%で、1位の中国「天河2号」(61.7%)、2位の米国「タイタン」(64.9%)と比べても優位な数値を出している。
「京」コンピュータの利用は、表2に示す5分野の戦略プログラムを主な目的とし、現在さまざまな大学や研究機関、企業が利用している(表3)。
スーパーコンピュータを利用してシミュレーションすることは、近年では「理論」「実験」と並ぶ科学技術の第3の手法として、最先端の科学技術や産業競争力の強化に不可欠な基盤となっている。これによってコスト削減も図られ、技術開発や新分野の開発に大いに活用できるため、企業からの需要も多い。
▼注1
フロップス:FLOPS(FLoatingpoint Operations PerSecond)。1 秒間に浮動小数点数演算が何回できるかという能力を表した値。1 ペタは10 の15 乗(1,000 兆) で、1 ペタFLOPS は毎秒1,000兆回の演算処理能力をもつ。「京」は10 ペタFLOPS(=10,000 兆回)
◆表1 出所
◆図1 出所
〔理化学研究所 計算科学研究機構の資料より〕
◆表2 出所
〔文部科学省の資料を元に編集部作成〕
◆表3 出所
〔一般財団法人高度情報科学技術研究機構の資料より〕