[特別レポート]

次世代社会を創るIoT・ロボット・AIが総結集した「CEATEC JAPAN 2017」

― 第4次産業革命、AIアシスタント、ブロックチェーンなどが共演 ―
2017/11/09
(木)
三橋 昭和 インプレスSmartGridニューズレター編集部

富士通:新しい価値を創造するブロックチェーンの取り組み

 ブロックチェーン(分散型の台帳情報を共有し連携するシステム)は、金融業界だけでなく、日常の暮らしやビジネスにおいてさまざまな「価値」を流通できる、極めて高い信頼性をもったプラットフォーム技術として注目されている(本誌の新連載参照)。

 富士通は、ブロックチェーン技術を使用して、企業が個別に蓄えた膨大なデータ(ビッグデータ)を、業種・業態・業界などの枠組みを超えて安全かつ簡単に利用できる、業界初の流通ネットワークについてデモを行った(図1、図2)。

図1 富士通:ブロックチェーンでつくる分散型データ流通(VPX)の仕組み

図1 富士通:ブロックチェーンでつくる分散型データ流通(VPX)の仕組み

VPX:Virtual Private digital eXchange
出所 富士通:CEATEC2017配布資料より

図2 VPX(データ流通・利活用のための新ネットワーク基盤)の仕組み

図2 VPX(データ流通・利活用のための新ネットワーク基盤)の仕組み

VPX:Virtual Private digital eXchange
出所 FUJITSU JOURNAL、2017年8月22日より

 写真8は、12分野の業種をブロックチェーンで接続した例を示したものであり、写真9は、写真8右の証跡のうち、37、38を拡大したものである。

写真8 富士通が取り組んでいるブロックチェーンの構成例(左)とデータやり取りの証跡例

写真8 富士通が取り組んでいるブロックチェーンの構成例(左)とデータやり取りの証跡例

写真左は、ブロックチェーンネットワークへの全参加者(12者)を示したもの。P2P(ピアツーピア、対等通信)のネットワーク構成になっている。写真右の表(証跡:後々の証拠となるような痕跡)は、誰がいつどういうアクセスをしたかを示し、すべての証跡が連番を付されて、全参加者のシステムに記録されていくようになっている。
出所 編集部撮影

写真9 写真8右側の証跡37、38を拡大したもの

写真9 写真8右側の証跡37、38を拡大したもの

37:req-DataAccess(黄色の文字)は、デパートからイベント会社にこのデータを使わせてください、というリクエスト(メタデータ)があったことを示す。
38:Pub-API(Publish-API、APIの公開、ピンク色の文字)は、デパートからのリクエストに対して、イベント会社が許可した(メタデータ)ということを示す。
出所 編集部撮影

 富士通が開発したブロックチェーンのコア技術は、Linux OSの普及をサポートする非営利組織Linux Foundationによるオープンソース「Hyperledger」(ハイパーレッジャー)である。これを核として、その周辺に富士通で開発した独自ソフトが使用されている。

 現在は実証段階であるが、2017年度中に富士通のサービスあるいはパッケージの形で提供される予定となっている。

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