富士通:新しい価値を創造するブロックチェーンの取り組み
ブロックチェーン(分散型の台帳情報を共有し連携するシステム)は、金融業界だけでなく、日常の暮らしやビジネスにおいてさまざまな「価値」を流通できる、極めて高い信頼性をもったプラットフォーム技術として注目されている(本誌の新連載参照)。
富士通は、ブロックチェーン技術を使用して、企業が個別に蓄えた膨大なデータ(ビッグデータ)を、業種・業態・業界などの枠組みを超えて安全かつ簡単に利用できる、業界初の流通ネットワークについてデモを行った(図1、図2)。
図1 富士通:ブロックチェーンでつくる分散型データ流通(VPX)の仕組み
VPX:Virtual Private digital eXchange
出所 富士通:CEATEC2017配布資料より
図2 VPX(データ流通・利活用のための新ネットワーク基盤)の仕組み
VPX:Virtual Private digital eXchange
出所 FUJITSU JOURNAL、2017年8月22日より
写真8は、12分野の業種をブロックチェーンで接続した例を示したものであり、写真9は、写真8右の証跡のうち、37、38を拡大したものである。
写真8 富士通が取り組んでいるブロックチェーンの構成例(左)とデータやり取りの証跡例
写真左は、ブロックチェーンネットワークへの全参加者(12者)を示したもの。P2P(ピアツーピア、対等通信)のネットワーク構成になっている。写真右の表(証跡:後々の証拠となるような痕跡)は、誰がいつどういうアクセスをしたかを示し、すべての証跡が連番を付されて、全参加者のシステムに記録されていくようになっている。
出所 編集部撮影
写真9 写真8右側の証跡37、38を拡大したもの
37:req-DataAccess(黄色の文字)は、デパートからイベント会社にこのデータを使わせてください、というリクエスト(メタデータ)があったことを示す。
38:Pub-API(Publish-API、APIの公開、ピンク色の文字)は、デパートからのリクエストに対して、イベント会社が許可した(メタデータ)ということを示す。
出所 編集部撮影
富士通が開発したブロックチェーンのコア技術は、Linux OSの普及をサポートする非営利組織Linux Foundationによるオープンソース「Hyperledger」(ハイパーレッジャー)である。これを核として、その周辺に富士通で開発した独自ソフトが使用されている。
現在は実証段階であるが、2017年度中に富士通のサービスあるいはパッケージの形で提供される予定となっている。