「ビジネスと環境」が一体になっての事業展開
〔1〕ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を売ることこそ
末吉 RE100に積水ハウスさんが加盟されたのは、住宅分野では日本初でしたよね。
石田 はい。その背景には、これまでお客様のところに設置した太陽光発電のFIT制度による買取期間が2019年から終了し始める件があります。そこで、お客様が太陽光発電による電気の売電先に困らないように、積水ハウスで買い取らせていただき、私たちの事業運営に使用すれば、当社はRE100が達成できることにもなると考えました。
末吉 まさに、「ビジネスと環境」が一体になって事業展開されているのですね。
石田 はい。私が当社の環境推進部長になったとき(2011年)に、最初に心がけたことは、この様な事業と環境の一体化です。
温暖化防止のために、CO2の排出権を購入するという手段もありますが、これは意味がありません。理由は、会社の業績が悪くなったときに「この金はなんだ」と問われて、「排出権購入の資金に使いました」と言えば、「そんなことやめなさい」と言われてしまうからです。
これに対して、ZEHは、業績が悪くなったらもっと売るように社長に言われます。たくさん売れるということは多くのお客様に喜んでいただけ、地球環境に大きく貢献でき、業績も良くなる事です。
〔2〕「5本の樹」計画:すでに1,300万本を植樹
石田 積水ハウスにおける環境への取り組みについては、図5に略史を示します。 この中であまり知られていないことですが、図6に示すように、2001年から庭づくりのための「5本の樹」計画という新しい庭木計画注9を提案し推進しています。「5本の樹」計画とは、「3本は鳥のために、2本は蝶のために」という思いを込めて、昔から馴染みの深い日本の原種や、在来種を植えましょうという提案で、今では、年間100万本以上植樹しており、2001年の取り組み開始時からの累積植樹本数は1,300万本を超えています。
これは外構(がいこう)事業注10と言われ、売り上げは年間670億円を超えています。この事業分野では、積水ハウスは日本一の外構造園事業者ともなっているのです。
図5 積水ハウスの環境戦略の歴史
出所 積水ハウス提供資料より
図6 「5本の樹」計画の推進イメージ
出所 https://www.sekisuihouse.co.jp/sustainable/biodiversity/objective1_1/index.html
〔3〕RE100が積水ハウスのビジョンに追いついてきた
末吉 環境とビジネスを一体のものとして捉え、環境整備を進めることがビジネスを進化させるということなのですね。
石田 はい。今後も方向性としては、国連が推進するSDGs(エスデージーズ。Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)という世界的潮流もありますので、それも意識して持続可能社会構築に貢献するビジネスを加速させていきたいと考えています。
その趣旨に賛同してRE100に加盟したというのが今回の経緯です。
末吉 国際的な組織であるRE100が、積水ハウスのビジョンにやっと追いついてきたということですね(笑)。
石田 はい。ただ、自分たちが進めてきたことが、本当に正しいかどうか確信はなかったのですが、COPなどの国際的な取り組みに参加すると、「正しい方向でビジネスをしているのだ」と、確信を得られるわけです。
▼ 注9
「5本の樹」計画
▼ 注10
外構事業:住宅など生活する建物の外にある、車庫や垣根、庭木などを含む事業のこと。