[特集]

卒FITと再エネ主電力化に向けた新ビジネスの到来

― 日本版コネクト&マネージも一部実施へ ―
2019/04/03
(水)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

脱炭素化社会を目指して、「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(以下、再エネ大量導入委員会)(注1)が2017年12月に設置された。2019年1月17日には第12回委員会が開催され、1月28日にその中間報告(第2次)(注2)が発表された。
日本における再生可能エネルギー(以下、再エネ)は、FIT制度を背景に急速に普及してきたが、先進諸国に比べてその普及の速度は遅いと指摘されている。一方、最近発表された国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告書(2019年3月公開)によれば、再エネは、2050年には既存の化石燃料と逆転する勢いである。
ここでは、日本のエネルギー自給率や電力システムの変遷と再エネの新たな活用モデルを確認したあと、卒FITと再エネの主力電源化に向けた、新たなビジネスチャンスの可能性について見ていく。

再エネの主力電源化を目指して

〔1〕再エネ大量導入・次世代ネットワーク小委員会の設置

 2030年に向けた再エネの大量導入とそれを支える次世代電力ネットワークの在り方を検討するため、経済産業省に「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が設置されたのは2017年12月であった。

 同委員会は2015年7月に策定された、2030年度に向けた長期エネルギー需給見通し(複数の電源構成によるエネルギーミックス)注3をいかに達成するか。そのために、再エネをコスト競争力のある主力電源にし、その大量導入を持続可能なものとすることを目指して検討が重ねられてきた。

 再エネは、世界的な導入拡大に伴って発電コストが低減し、コスト競争力のある電源となり普及が加速している。しかし、日本では、2012年7月のFIT制度導入以降、急速に再エネの導入が進んでいるものの、その発電コストは国際水準と比較して依然高い状況となっている。

〔2〕再エネの系統制約とFIT 制度からの自立

 再エネの導入拡大が進む一方で、従来の電力ネットワーク(系統)の運用の下では、再エネで発電された電力を、系統の制約によって十分活用できない状況が発生するなど、「系統制約」が顕在化している。さらに、電力需要のピーク時に再エネを調整力として活用する方策や、FIT制度からの自立(2019年11月からFIT制度の終了が開始する)に向けた事業環境の整備など、新たな政策課題も見えてきた。

 ここでは同委員会設立から、12回の審議を重ねて2019年1月にまとめられ公表された、中間整理(第2次)2019年1月の内容を中心に見ていく。

2050年に「再エネが化石燃料を追い越す」

〔1〕日本のエネルギー自給率:7%(極端に低い)

 日本はエネルギー資源に乏しく、また、島国であるところから、欧州などのように国際送電線によって国際的な電力融通をすることも難しい(検討はされているが)。

 これまでの日本のエネルギーのメガトレンドを見ると、2050年のエネルギーの姿を検討する有識者による「第9回エネルギー情勢懇談会」(2018年4月、図1)で発表されたように、石油危機やパリ協定の締結を背景に、脱石炭化 ⇒ 脱石油化 ⇒ 脱炭素化と転換(図1下)されてきた。主力とするエネルギーの選択基準は歴史的に5段階(第1の選択〜第5の選択)に分けてとらえられている。

図1 第5回目のエネルギー選択(第9回エネルギー情勢懇談会)

図1 第5回目のエネルギー選択(第9回エネルギー情勢懇談会)

出所 「エネルギー情勢懇談会」、2018年4月10日

 また、図2に示すように、エネルギー自給率(2015年、主な国産資源)は主要国の中で、わずか7%と、きわだって低い状況となっている。

図2 主要国と比較した日本が置かれている状況

図2 主要国と比較した日本が置かれている状況

出所 「エネルギー情勢懇談会」、2018年4月10日

 このため、今後、再エネを大量に導入すれば、太陽光も風力も原材料のコストがかからないエネルギーであるため、エネルギー自給率を50%以上にするのは、必ずしも夢の話でなく現実的であることから、クリーンな再エネへの期待が高まっている。

〔2〕再エネが急増:2050年に化石燃料と再エネが逆転へ

 図3に主要国の再エネの発電比率を示すが、

  1. 水力を含めるとカナダが第1位であること
  2. 欧州勢は風力が多く、イタリアと日本は太陽光が多いこと
  3. 主要国の2030年の再エネ比率は40%台以上であるが、日本の22〜24%は最下位レベルとなっていること

などが見てとれる。

 このように、世界的には、発電設備に占める再エネの割合は急増しており、2015年は、世界全体の発電設備容量で、水力を含む再エネが石炭を超えるなど記録的な年になった。

 2016年以降も再エネは引き続き増加している。2019年3月、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)注4は「新たな世界:エネルギー変容の地政学」を公開し、その中で2050年に「再エネが化石燃料を追い越す」というエネルギー転換の枠組みを発表した(図4)。全世界で再エネの動きが加速していることが注目されている。

図4 エネルギー転換の枠組み(2050年の再エネが化石燃料を追い越す)

図4 エネルギー転換の枠組み(2050年の再エネが化石燃料を追い越す)

出所 「新たな世界 エネルギー変容の地政学」、2019年3月


▼ 注1
正式名称は、「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」、
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/20190128_report.html
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/index.html

▼ 注2
中間整理(第2次)2019年1月

▼ 注3
経済産業省「長期エネルギー需給見通し」平成27(2015)年7月

▼ 注4
IRENA:International Renewable Energy Agency、国際再生可能エネルギー機関。「新たな世界:エネルギー変容の地政学(A New World:The Geopolitics of Energy Transformation)」は、世界各国から専門家を集めた「エネルギー変容の地政学に関する世界委員会(Global Commission on the Geopolitics of Energy Transformation)」(議長 オーラブル・ラグナル・グリムソン、アイスランド前大統領)によってとりまとめられたもの。同委員会には日本から(財)日本エネルギー経済研究所理事長 豊田 正和氏が委員として参加している。

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