NTTグループは2030年までに100%EV化を宣言
2020年以降の地球温暖化対策の新しい枠組みであるパリ協定の成立を契機に、脱炭素化が世界の大きな潮流となっている。そのため、企業や自治体においても、RE100やSBT、ESG(後出の表2参照)などの観点から再生可能エネルギー(以下、再エネ)の利用価値が高まっている。また、自動車分野においても100年に一度の自動車革命と言われている、CO2排出量の多いガソリン自動車からEVへのシフトが国際的に加速している。
NTTグループは、すでにEV100に加盟(2018年10月)注2し、保有している一般車両(EV100加盟時は1.1万台)を、2030年までに100%EV化することを宣言している。
一方、日産は、2010年にEVの「日産リーフ」を発売開始して以来、すでに世界で約43万台を販売している。さらに同社は、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」注3の活動を通して社会変革に貢献し、ゼロエミッション社会の実現に向けて積極的に取り組んでいる。
NTT西日本、NTTスマイルエナジー、日産による実証試験の内容
〔1〕「カーポートPV」による トライアル
今回のトライアルでは、駐車場の屋根に太陽光パネルを設置し発電する「カーポート型太陽光発電システム」(以下、カーポートPV。写真1、写真2)で発電した電気を、NTT西日本の山口支店のオフィスビルで自家消費し、発電状況や電力使用状況に応じて、クラウドからEVや定置型蓄電池を遠隔制御(充放電)し、EVの利用ユーザーの利便性を損なうことなく、エネルギーコストやCO2排出量をいかに削減できるか、などを検証してきた(図1)。
写真1 NTT西日本 山口支店におけるスマートエネルギー実証実験場と3台の日産リーフ
出所 https://global.nissannews.com/ja-JP?&modal=video-d17c386cf920719b485c975e5e00062d
写真2 実証試験(トライアル)環境における各設備
出所 日産自動車/NTTスマイルエナジー/NTT西日本、「EV(V2B)を活用したオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアルの夏季実証結果について」、2019年9月26日
図1 実証試験の構成と夏季ピークカット実証を通じて確認された効果
出所 日産自動車/NTTスマイルエナジー/NTT西日本、「EV(V2B)を活用したオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアルの夏季実証結果について」、2019年9月26日
〔2〕今回の実証試験の全容
今回の実証試験では、太陽光発電システムに加えて、V2BによってオフィスビルとEV間での電力の相互供給をIoTやAIを利用して最適制御し、エネルギーコストの削減やCO2の削減などの有効性を検証している。EVの遠隔制御は、NTTスマイルエナジーがクラウド機能の1つとして開発したものである。
将来的には、同遠隔制御技術を、オフィスビルに導入される定置型蓄電池の活用の検証を行うことが予定されている。
表1に、実証試験の概要を示す。
表1 実証試験の概要
DR:Demand Response、デマンドレスポンス。電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要家側の電力を制御すること
出所 https://nttse.com/pressrelease/2018/10-30/934/および、日産自動車/NTTスマイルエナジー/NTT西日本「EV(V2B)を活用したオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアルの夏季実証結果について」2019年9月26日
▼ 注1
EV(V2B):EVはElectric Vehicle(電気自動車)の略、V2BはVehicle to Buildingの略で、電気自動車とビルの間で電力を相互に供給する充放電装置などを含む技術やシステムのこと。
▼ 注2
https://www.ntt.co.jp/news2018/1810/181029a.html
▼ 注3
日産は、EVの次のステージを目指して、クルマも、道路も、街も、社会も、もっと美しい“ブルー”に、日本をもっと美しい国に、との想いを込めて、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を推進している。
https://ev.nissan.co.jp/BLUESWITCH/