[RE100加盟企業に聞く!]

大和ハウスグループの環境負荷(CO2)ゼロへの挑戦

─ 船橋市で日本初の「再エネ100%のまちづくり」を開始 ─
2019/11/01
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

“Challenge ZERO 2055”策定の背景と目標設定と実現方法

Ryo Yamamoto

〔1〕環境重点4テーマを特定

―編集部 環境長期ビジョンを策定された背景はどのようなものですか。

山本 パリ協定が2015年12月に採択注3されたことを受けて、環境負荷削減に関する長期ビジョンや目標の必要性について議論をしました。その結果、2016年7月、環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055”を策定することとしました。

―編集部 環境長期ビジョンのポイントを教えてください。

山本 環境問題は多岐にわたりますが、特に当社グループの事業と関わりの深い、4つのテーマを環境重点テーマに特定し、グループ、グローバル、サプライチェーンを通じて環境負荷ゼロにチャレンジする点です。具体的には、

  1. Challenge1:気候変動の緩和と適応
  2. Challenge2:自然環境との調和
  3. Challenge3:資源保護
  4. Challenge4:化学物質による汚染の防止

となっています(図2)。

―編集部 それらはどのように実現するのでしょうか?

山本 4つの環境重点テーマ(図3左)について、図3の中央に示す3つの段階で取り組みを進めていきます。すなわち、バリューチェーンを、①調達、②自社活動、③お客様に提供する商品・サービスの使用、という3つの段階に大別し取り組みを進めています。

図3 環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055”の実現への挑戦(2016年7月発表)

図3 環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055”の実現への挑戦(2016年7月発表)

出所 https://www.kansai.meti.go.jp/3-9enetai/downloadfiles/2018/20190212jireihappyoudaiwahouse.pdf

〔2〕具体的な目標設定とその実現方法

―編集部 具体的な目標はどのように設定しているのでしょうか?

山本 例えば、最重点テーマに掲げた「気候変動の緩和と適応」では、大きく3つのAction(行動)について目標を設定しています。

 Action1では、お客様に提供する住宅や建築物における居住段階の温室効果ガスを削減する目標を設定し、ZEH(net Zero Energy House)やZEB(net Zero Energy Building)の標準化を進めています。図4に示すように、「2030年度までに2015年度比温室効果ガス排出量を30%削減」という目標を設定しています。

図4 住宅・建築物の使用時の温室効果ガスの削減目標(m2当たり)

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図4 住宅・建築物の使用時の温室効果ガスの削減目標(m2当たり)

出所 https://www.daiwahouse.com/sustainable/csr/pdfs/2019/env_LongTermVision.pdf

 Action2では、先ほどの図3に示した3つの段階のうちの「自社活動の段階」です。ここでは、当社グループの事務所や工場、施工現場などで排出する温室効果ガスを削減する目標を設定しています。この目標を達成するための手段を具体化したのが、「RE100」や「EP100」になります。

 Action3では、サプライチェーン全体の脱炭素化を目指して、「主要なサプライヤーとともに」、2025年までにパリ協定を考慮した温室効果ガスの削減目標を共有して、その取り組みを進めています。


▼ 注3
パリ協定(Paris Agreement):COP21で全会一致(締約国:196カ国・地域))決定された地球温暖化対策の新しい枠組み。
COP:Conference of Parties、気候変動枠組条約締約国会議。地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくための国際的な議論の場。2015年11月30日から12月13日に21回目の会議がパリ(フランス)で開催されたため、この会議はCOP21またはパリ会議と呼ばれる。

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