世界の温室効果ガスの排出量の現状と今後
写真 『Emission Gap Report 2019』の表紙〔国連環境計画(UNEP)発行、2019年11月〕
出所 https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/30797/EGR2019.pdf?sequence=1&isAllowed=y
次に、世界の温室効果ガスの排出量の状況を見てみよう。
〔1〕『2019年排出ギャップ報告書』を発表
国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)は、パリ協定の1.5℃および2℃の温度目標について、現状と2030年に予想されるCO2排出量のギャップに関する最新データを分析した、『Emission Gap Report 2019』(2019年排出ギャップ報告書)を発表した〔写真、2019年11月発行。序論26ページ+本文82ページ〕。 同報告書は、2013年以来、毎年発行されている。
〔2〕国別の総排出量と国民1人当たりの排出量
図7は、「Emission Gap Report 2019」における、温室効果ガスの排出量の比較を示した図であり、森林などの吸収量を除外した、エネルギー起源CO2の排出量を示している。
図7 温室効果ガスの排出量の比較(森林などの吸収量は含まない)
図7(1)は、国別の温室効果ガスの排出量の比較を、図7(2)は国別1人当たりの排出量の比較を示したものである(国別1人当たりの排出量の単位は、t-CO2e(トンCO2換算)、国別の温室効果ガスの排出量の単位はGtCO2e(ギガトンCO2換算)と、国別1人当たりの排出量の単位の10億倍となっていることに注意)。
図7(1)からわかるように、国別の総排出量の第1位は中国であるが、第2位の米国以下を大きく引き離している。第2位の米国は横ばいであり、第3位のEU(28カ国)はやや下降気味であるが、第4位のインドは急上昇している。以下5位のロシアはやや上昇傾向、第6位の日本は横ばいとなっている。
一方、図7(2)からわかるように、国別1人当たりの排出量は、米国が第1位であるが下降傾向にあり、第2位のロシアは上昇傾向にある。第3位の日本、第4位の中国、第5位のEU(28カ国)は、1つのグループを形成している。第6位のインドは、やや上昇傾向にある。