顔の見える電力、顔が見える経済圏
みんな電力は、単なる再エネ電力の調達だけでなく生産者との繋がりが価値となるような、まったく新しい電力販売の仕組みを提供している。
〔1〕購入者が生産者を選べる
1つは「電気の購入者が電気の生産者を選べる」ことだ。
例えば、津波被害を受けた農地を利用して復興事業を推進する太陽光発電事業者から、あるいは海上風力を利用した洋上風力発電事業者から電気を購入したい。また、自分の母校でつくられた太陽光発電の電気を購入したいという消費者が、生産者を意識して電気を購入できるよう、応援したい発電所を選び、電源所有者と直接契約できるようにしている(図2)。
図2 顔の見える電力:電力購入者が応援したい発電所を選べる
また2019年8月28日〜10月1日の期間限定で、新宿「BEAMS JAPAN(ビームス ジャパン)」で“電気”の店頭販売を行うという、株式会社ビームス(本社:東京都渋谷区、代表取締役:設楽洋)との初の試みも行った(写真3)注5。
写真3 新宿「BEAMS JAPAN(ビームス ジャパン)」で店頭販売された“でんき”のカード
▲写真は、千葉県木更津市のソーラーシェアリング発電所(匝瑳市飯塚 Sola Share 1号機)のカード。農地で農業と自然エネルギー発電を同時に実現している。
出所 編集部撮影
〔2〕「地域間連携」の実現
もう1つは「地域間連携」の実現だ。
みんな電力は、長野県の水力発電の電気を仕入れて世田谷区の保育園・児童館45施設に電気を供給し、長野県と世田谷区で初の自治体間連携を実現している。各保育園には長野県の電気を使っていると告知し、長野県のことを知り、場合によっては長野に遊びに行くなど、電気の利用(結びつき)が人と人との交流に発展している。
また、神奈川県横浜市と青森県横浜町が再エネに関する連携協定を結び注6、横浜町の風力発電でつくられた電気を、みんな電力の「ENECTION2.0」を活用して横浜市へ供給することも開始(本誌2019年10月号参照)している。このように、環境に積極的に取り組む自治体との協業も展開している。
▼ 注5
https://minden.co.jp/personal/wp-content/uploads/2019/09/20190902_beamsjapan.pdf