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電力システム改革第3弾! スタートする発送電の法的分離

― 送配電網の中立化に向けて分社化を完了! ―
2020/04/12
(日)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

法的分離の施行に向けた「適正な電力取引についての指針」の改定

 公正取引委員会と経済産業省は、電力市場における公正な市場競争の展開が行われるよう、共同で、独占禁止法上または電気事業法上において問題となる行為などを明らかにした「適正な電力取引についての指針」を1999年12月に作成し、これまでに制度改正に合わせて指針の改定を行ってきた。

 2020年度からは、一般送配電事業者および送電事業者(以下「一般送配電事業者等」という)の法的分離が実施されるため、一般送配電事業者等とその特定関係事業者(例:グループ内の発電・小売電気事業者等)との間で、中立性・公平性を担保するため、取締役の兼職や業務委託の制限などの「行為規制」注16が施行される。

 そこで、今回の法的分離の施行に備えて、行為規制に関する法令の運用をより明確化するため、公正取引委員会と経済産業省が、共同で指針の改定を行い、下記のように公表している(2019年9月27日)注17

「適正な電力取引についての指針」

令和元(2019)年9月27日

公正取引委員会・経済産業省(全67ページ)

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[附則]本指針の適用:令和元(2019)年9月27日の改定後の本指針は、同日から適用する。ただし、IV(託送分野等における適正な電力取引の在り方)に関する改定については、令和2(2020)年4月1日から適用する。

出所 https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190927004/20190927004-1.pdf

*    *    *

 2020年4月1日から施行される「法的分離」の最新動向を見てきたが、電力システム改革の真価が問われるのはこれからだ。

 電力システム改革は、今後、第5次エネルギー基本計画(2018年7月)に基づいて、再エネの主力電源化の促進をはじめ、災害時などにおけるレジリエンスの強化を図りながら、再エネ電力を安定的に送電できるようにする日本型コネクト&マネージ注18の一層の推進、法的分離に伴う託送料金注19の見直し、各種制度の整備などが推進されていく。

 例えば、2021年度からは、一般送配電事業者が取引の主体となる電力の需給調整市場注20の開設が予定されている。

 これらによって、電力ビジネスの活性化と市場競争も進み、電気料金の引き下げが期待され、さらに、大手電力会社の送配電網の維持・管理の負担も軽減されよう。

 このような新たな施策や法的分離によって、電力システム改革は全国的な視野から、広域機関と一般送配電事業者が連携することによって、統一的な運営が行われるようになり、より効率的な電力システムへの進展が期待されている。


▼ 注16
行為規制:2015年6月17日に成立した改正電気事業法で、2020年度から一般送配電事業者の法的分離を行うとともに、人事・業務委託などに関する、次のような行為規制を導入することが規定された。
①建物を発電・小売電気事業者等と共用する場合には別フロアにし、入室制限等を行うこと、②一般送配電事業者とグループ内の発電・小売電気事業者等との兼職をしてはならないこと、③一般送配電事業者がグループ内の発電・小売電気事業者から発電・小売電気業務を受託してはならないことなど。

▼ 注17
公正取引委員会、経済産業省「適正な電力取引についての指針」、令和元(2019年)年9月27日、
https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190927004/20190927004.html
https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190927004/20190927004-1.pdf

▼ 注18
コネクト&マネージ:最大限コネクト(接続)することを第一として、送電線(送電容量)をマネージ(管理)するという考え方。再エネなどで発電した電力をできるだけ抑制せずに、既存の送電線(送電容量)を最大限に活用して、送電できるようにするための新しい運用規則。例えば、現状の送電線の場合、2回線のうち1回線が故障しても、もう1つの回線で電気を供給できるよう、1回線分(容量の50%)は予備として確保されている。コネクト&マネージでは、この予備部分を有効利用する考え方。

▼ 注19
託送料金:電気を送る場合、小売電気事業者が利用する送電網や配電網の利用料金のこと。小売電気事業者は、各社が売った電気量に応じて、地域ごとに決まっている託送料金(送配電網の利用料金)を、(送配電網をもつ)送配電事業者に支払わなければない(注:一般家庭などから毎月徴収している電気料金の一部から、送配電事業者へ支払われている)。

▼ 注20
需給調整市場:系統から供給する電気は蓄えることができない(大容量のためコスト的に蓄電できない)ため、顧客の電気の使用量(需要)と発電量(供給)を瞬時・瞬時に一致させる必要がある。この際に、一般送配電事業者が一致させるために使う供給力が「調整力」(周波数を維持し安定させために短時間に調達する重要な電力)である。この調整力を市場から調達する市場が需給調整市場である。

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