[展示会]

[関西]スマートエネルギーWeek 2020レポート 脱炭素・再エネの主力電源化に向けた新ビジネス指向の展示目立つ

― VPP・薄膜型太陽光パネル・バイオマス・ブロックチェーンが勢揃い ―
2020/10/01
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

NEC:VPPサービスプラットフォーム

〔1〕VPPサービスプラットフォームの仕組み

 NECは、VPPプラットフォーム「K-LIBRAシステム」注5を開発し、前述した関西電力送電と共同で行う実証実験の内容をデモした。

 図3に、実証実験で行われているVPPサービスプラットフォーム「K-LIBRAのシステム」の構成を、表1にVPPサービスプラットフォームの多彩なサービスを示す。

図3 関西電力送配電と実証中のNECの「K-LIBRAシステム」(図中の点線内)

図3 関西電力送配電と実証中のNECの「K-LIBRAシステム」(図中の点線内)

EMS:Energy Management System、エネルギー管理システム
PCS:ower Conditioning System、パワコン。直流(DC)の電気を交流(AC)に変換し、家電機器等で利用できるようにするための装置
出所 編集部撮影

表1 NECが提供するVPPサービスプラットフォームの多彩なサービス

表1 NECが提供するVPPサービスプラットフォームの多彩なサービス

出所 NECの配布資料より

 図3に示すように、関西電力送配電の中央指令所注6とK-LIBRAサーバをつなぎ、同サーバに、需要家側の各蓄電池や電気自動車(EV)、工場に設置された蓄電池や太陽光パネルなどを束ねて接続する(図3下部の青い楕円部分がVPP部)。

 VPP通信プロトコルとしては、①家庭用蓄電池などを接続する場合はECHONET Lite(エコーネットコンソーシアム規格)、②産業用の蓄電池などとの接続にはModbus(モドバス、米国Modicon社が開発した産業界の標準プロトコル)が使用されている。  今年度(2020年度)は政府が推進するVPP構築実証事業の最終年度であり、今年度の実証を終え、来年度(2021年度)からの商用化を目指している。

〔2〕インバランスを回避するVPPサービスを提供

 VPPサービスプラットフォームは、再エネの大量導入に伴うさまざまな課題解決に向けた、多彩なサービスを提供する。例えば、新電力事業者(PPS:Power Producer and Supplier、以下、新電力)向けのインバランス(予測と需要の差分。不足分)の調整サービスを見てみよう。

 新電力は電力需要を予測しながら電力を調達し、ユーザーに電力を届けている(計画値同時同量)。そのとき、予測と需要の間で乖離(インバランス)が発生すると、(不足分を調達してくれた)一般送配電事業者に対して通常より高い電気料金を支払うというペナルティが課せられてしまう。

 そこでNECが開発した「VPPサービスプラットフォーム」では、新電力が契約する需要家の蓄電池や電気自動車などのDER(分散エネルギー電源)を活用して、インバランスを回避、あるいは最小化するサービスを提供する。

〔3〕VPPを商用化に向けた同時マルチユース

 一方、VPPを商用化して普及させるには、蓄電池の価格が下がることと、蓄電池の価値を高めることも重要である。そこでNECは、蓄電池の価値を高めるため、図4に示す蓄電池の利用用途を広げる「同時マルチユース」の実証・展示を行っていた。

 「同時マルチユース」とは、1台の蓄電池で、太陽光発電との併用などエネルギーマネジメント(エネマネ)として利用したり、災害時の万が一の停電に備える非常用電源として利用したりするなどの利便性と、周波数制御調整力の提供を同時に実現することである。

 具体的には、図4に示すように、

図4 VPP機能を活用した新電力向けインバランス調整サービス(蓄電池の利用用途を広げる同時マルチユースを実証)

図4 VPP機能を活用した新電力向けインバランス調整サービス(蓄電池の利用用途を広げる同時マルチユースを実証)

エネマネサービス:エネルギーマネージメントサービス。蓄電池と太陽光発電等を組み合わせて管理し、自家消費する等を含めたサービス(エネマネ)
周波数調整サービス:電力系統の周波数(50Hz/60Hz)の乱れを検知し、障害が発生する前に蓄電システムから充放電を行い、周波数の安定を維持するサービス
出所 編集部撮影

 ①従来の蓄電池の使い方「時間帯別マルチユース」(100%充電されていても40〜50%程度が未利用で、エネマネとDRサービスが個別最適化されている、図4左)から、

 ②新しい蓄電池の使い方「同時マルチユース」(未利用の40〜50%程度を周波数調整サービスに利用し、さらにエネマネやVPPサービスも同時に実現し、サービスの全体最適化を実現、図4右)に移行させることによって、

蓄電池を最大限活用する仕組みである。

 このように「同時マルチユース」に移行することによって、蓄電池の価値を高めることが可能となる。


▼ 注5
K-LIBRA(ケーリブラ):Kansai electric power company’s Liberty to manage the power grid Integrated Batteries and energy Resource Aggregator(s)、構築した蓄電池を一括制御するための蓄電池群監視制御システム。

▼ 注6
中央給電指令所:時々刻々と変化する電気の使用量を予測しながら、24時間365日、発電所の発電量を調整して指令を出す機関(?組織?)。

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