第一実業:薄膜型フレキシブル太陽光パネルをデモ・展示
〔1〕厚さ2mmで軽量な薄膜型太陽光パネル
産業用機械を取り扱う商社である第一実業株式会社(DJK。本社:東京都千代田区、1948年に創立)は、スイスのフィルソム(Filsom AG)注7の軽量な薄膜型フレキシブル太陽光発電用パネル(平均2.1kg/m²、接着剤を含めても平均2.3kg/m²)を展示していた(写真3)。
写真3 第一実業の「薄膜型」軽量フレキシブル太陽光パネルの外観(ケーブルは太陽光パネルに使用される標準ケーブル)
出所 編集部撮影
このパネルは、現在普及している結晶型パネルに比べて1/5〜1/6の軽さである。
結晶型太陽光パネルの場合はアルミのフレームで、ガラス材で覆った結晶型太陽光パネルが使えないような場所で利用できる。一方、薄膜型太陽光パネルは、厚さが2mmという薄さである。
結晶型パネルの場合は屋根に穴をあけ、架台を組んで、パネルをボルトで止めなくてはならないが、薄膜型パネルの場合は接着剤で屋根や壁に直付けが容易なため、施行が簡単である。写真3(eFlex 1.6、長さ1.6m)のパネルの場合、定格出力は最大60W、電圧は34〜36Vとなっている。
〔2〕変換効率と光吸収効率
薄膜型太陽光パネルは、現在は結晶型パネルの変換効率16〜17%に比べて、11%と低いが、2020年末頃完成の予定で建設中のハンガリーの大型工場が完成すると、同工場で第3世代の13.5%の変換効率の薄膜型パネルが出荷される(写真4。販売時期の予定は検討中)。
写真4 太陽光パネルの特性表と設置場所(下部の写真)の例
出所 展示ブースのパネルの撮影をもとに編集部作成
結晶型パネルの16~17%には及ばないが、薄膜型パネルの場合は設置コストが安いことや光吸収効率が高いため、結晶型パネルに比べて年間で発電電力が10%程度多くなる。このため、第3世代の変換効率13.5%程度の薄膜型パネルが提供でき、光吸収効率の高さを勘案すると、結晶型と遜色のないパネルとなる。
これまで、結晶型の太陽光パネルの多くは露地設置が多く、1カ所に集中させて売電してきた。しかし、太陽光発電のFITの終了とともに、今後、工場や個々の家庭、倉庫などに設置して自家消費(蓄電池等と連携)して、余った電気を販売する形態が増えていくことが予想される。
今回展示された発電効率11%の薄膜型太陽光パネルは、すでに発売されているが、現在、耐風圧試験なども終えたところから、2020年10月から本格的に販売される。
▼ 注7
フィルソム(Filsom AG):2005年設立。スイスのEmpa(スイス連邦科学技術研究所。日本の産業技術総合研究所のような研究所)をスピンアウトして設立した会社。