住友林業:木質バイオマス発電とブロックチェーンによる取引プラットフォーム
〔1〕活発化する木質バイオマス発電
資源環境事業や住宅・建築事業などを展開している、住友林業株式会社(本社:東京都千代田区)は、「山林の価値を高める住友林業グループの環境エネルギー事業」を中心に出展し、アピールした(写真5)。
写真5 木質バイオマス発電事業を中心に展示した住友林業のブース
出所 編集部撮影
住友林業は、すでに、2020年3月、再エネ100%化を目指す国際的イニシアティブ「RE100」に加盟している。
2040年までに、自社グループの事業活動で使用する電力と発電事業における発電燃料を100%再エネにすることを目指すなど、脱炭素社会に向けて意欲的な取り組みを展開している。
現在、住友林業グループでは、木質バイオマス発電事業、太陽光発電事業のほか、自社での電力利用を前提とする住宅展示場の太陽光発電システムの設置によって、再エネ発電を推進している。
同グループの木質バイオマス発電事業は、2011年2月に、建築廃材等を主燃料とした都市型の川崎バイオマス発電所(発電規模33MW)を稼働させて参入した。以降、紋別バイオマス発電所(50MW、北海道)、苫小牧バイオマス発電所(6.2MW、北海道)、八戸バイオマス発電所(12.4MW、青森県)などの営業運転を開始している。
さらに、2021年6月に運転開始予定の苅田バイオマス発電所(74.9MW、福岡県)が稼働すれば、同社グループでの発電規模は合計で約177MWとなり、約37万4,000世帯分の電力を供給することになる注8。
〔2〕ブロックチェーンで「価値取引プラットフォーム」も
住友林業はまた、今後の再エネなどの電力小売(P2P電力取引)を見据えて、すでに同社の住宅展示場のモデルハウスで、デジタルグリッド(本社:東京都千代田区、2017年10月16日に設立)注9が開発した、AIとブロックチェーンを活用して構築された「電力P2P取引プラットフォーム」を利用して、電力小売(P2P電力取引)の実証実験を開始している。
住友林業のブースでは、この「取引プラットフォーム」(DGP:デジタルグリッドプラットフォーム)を介して、「再エネ価値を販売したい電源保有者」と「再エネ利用を高めたい企業」などの間で、再エネ価値を交換できるシステムも紹介されていた(図5)。図5に示すDGC(Digital Grid Controller、デジタルグリッドコントローラ)は、取引機能をもつDGP(取引プラットフォーム)と通信しながら、各住宅に設置されたスマートメーターのデータを正確に把握し、環境価値をブロックチェーンで証書化するIoTデバイスである。
図5 ブロックチェーンを利用した取引プラットフォーム(DGP)
DGC:電力取引機能をもつDGP(プラットフォーム)と通信しつつ、各住宅等に設置されたスマートメーターのデータを正確に取得し、環境価値をブロックチェーンで証書化するIoTデバイス
出所 編集部撮影
このデバイスは、3G/LTEモジュールや920MHz無線モジュール(Wi-SUN対応)などの通信機能も備えたデバイスとなっている。
▼ 注8
木質バイオマス発電事業