VPP事業は富士山の5合目まで到達
リフェコは、九州エリアで『タフな地域コミュニティにつながるVPP実証事業』を目指して、①平成31(2019)年度からVPP実証事業に、②令和2(2020)年度から「ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業(以降、DP実証事業)」に参加してきた(表3)。
表3 リフェコが参画する実証事業例(経済産業省補助事業)
出所 リフェコ株式会社のプレスリリースをもとに編集部で作成
リフェコが目指す「タフな地域コミュニティ」とは、その地域内に太陽光などのクリーンな再エネ・分散型電源や蓄電機能を備えて、
- 災害時にもレジリエントなライフラインを確保する
- 同時に、環境に配慮した気候危機対策によって脱炭素社会へも貢献する
- 地域内の循環によって外部への流出を防ぎ、経済(お金)とエネルギーが定着できる
ことなどを可能にすることである。
リフェコの辻氏は、「当社は、これまで九州エリアで、VPPの素(もと)となる太陽光発電や蓄電池、オール電化、V2Hなどを導入、設置してきました。これらをベースにVPP実証を推進していますが、現時点の到達点は、富士山登山でいえば5合目までで、車で容易に登ることができるという段階です。VPPビジネスの基盤はできましたが、事業を行うとなると簡単ではなく、これからの検証が重要となるのです」と語った。
今後、VPPのビジネス化に向けて、同社では次のことを検討している。
- VPP実証事業を通して、VPPビジネスを展開するうえでの課題が明確になり、実ビジネスの可能性が見えてきた。しかし、この後は1つ1つ着実に課題をクリアしていくこと。
- 2022年度も引き続きダイナミックプライシング実証事業に参加していく。具体的には多くの「VPPの素(もと)」をつないで制御するSGW(後述)などの開発が求められること。
「ここから先は、図1の下段に示したように、DX(デジタルトランスフォーメーション)やマーケティング、ナッジ(Nudge。より良い選択を自発的に行えるように手助けする政策手法)などを駆使して取り組まなくてはなりません。VPPを本格的に普及させるには、市場で具体的に浸透させていくことが必要だと思います。そのため、これとVPP実証事業を連携させて取り組んでいます」と辻氏は続けた。
図1 SDGsに通ずるVPP事業
DX:Digital Transformation、デジタル変革。企業がAIやクラウド、ビッグデータ解析などのデジタル技術(IT技術)を活用して、企業のビジネスモデルを変革し、市場において競争上の優位を実現すること。
ナッジ(Nudge):後押しすること。人々が自分自身にとって、より良い選択を自発的に行えるように手助けする政策手法。
出所 リフェコ株式会社、「タフな地域コミュニティ」につながるVPP実証事業、2021年4月