バイデン大統領による議会演説
〔1〕アメリカは再び動き出した
米国のジョー・バイデン大統領は、4月28日、上下両院合同会議(a Joint Session of Congress)において、就任後初となる議会演説を行った。演説の冒頭では、“Madam Speaker, Madam Vice President”と呼びかけ、バイデン大統領の後ろに座るナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長とカマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領が両方とも女性であることを強調(写真1)したうえで、「この演台から、こう語りかけた大統領は、これまで今まで一人もいなかった(No President has ever said those words from this podium.)」とも語った。
写真1 演説するジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領(後方左)、後方右はナンシー・ペロシ下院議長(2021年4月28日)
就任から99日目に行ったこの演説では、バイデン大統領は「アメリカは再び動き出した(America is on the move again)」として、自身の成果を強調した。演説の早い段階で成果の1つとして強調したのが、新型コロナウイルス・ワクチンである。就任時には、100日以内に1億回の接種を約束していたが、実際には2億回以上の提供ができたと発表した。
ホワイトハウスのWebサイトのトップページには、接種回数がグラフで示されており、これによると4月22日に2億回を達成していることになる(図1)。
図1 米国におけるワクチン接種回数を示すグラフ(5月25日時点)
出所 https://web.archive.org/web/20210525125321/
https://www.whitehouse.gov/
〔2〕「気候サミット」の成功をアピール
1時間以上に及んだ演説では、さまざまなテーマが取り上げられたが、雇用や技術革新、教育や育児などを含む新たな「米国家族計画(American Families Plan)」、医療保険制度や税制改革などとあわせて、気候変動対策についても触れていた。
気候変動対策についての言及は、他の項目と比べて量は多くなかったが、その中では就任から100日以内に開催するとしていた気候サミット(Leaders Summit on Climate)を4月22〜23日に開催し、世界の主要国(the major economies of the world)として中国やロシア、インド、EUが参加した実績を強調した。