[米国バイデン大統領主催の「気候サミット」をひも解く]

【中編】 米国の気候変動対策に関する2つの大統領令と中国の取り組み

2021/06/04
(金)
新井 宏征 株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役社長

気候サミット(Leaders Summit on Climate)が閉幕となって程ない2021年4月28日、米国のジョー・バイデン大統領(President Joe Biden)は、上下両院合同会議において、就任後初となる議会演説を行った。そこでは、気候サミットも含めた、大統領就任後100日間の成果を強調した。気候サミット後もバイデン政権は、気候変動対策の施策を次々と打ち出している。
「中編」では、気候サミット中および気候サミット後に、バイデン政権が打ち出した気候変動対策への具体的な施策を整理するとともに、米国が常に意識し続ける中国の気候変動対策に関する状況を整理する。

バイデン大統領による議会演説

〔1〕アメリカは再び動き出した

 米国のジョー・バイデン大統領は、4月28日、上下両院合同会議(a Joint Session of Congress)において、就任後初となる議会演説を行った。演説の冒頭では、“Madam Speaker, Madam Vice President”と呼びかけ、バイデン大統領の後ろに座るナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長とカマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領が両方とも女性であることを強調(写真1)したうえで、「この演台から、こう語りかけた大統領は、これまで今まで一人もいなかった(No President has ever said those words from this podium.)」とも語った。

写真1 演説するジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領(後方左)、後方右はナンシー・ペロシ下院議長(2021年4月28日)

写真1 演説するジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領(後方左)、後方右はナンシー・ペロシ下院議長(2021年4月28日)

出所 https://www.youtube.com/watch?v=AofPJOZIiFs

 就任から99日目に行ったこの演説では、バイデン大統領は「アメリカは再び動き出した(America is on the move again)」として、自身の成果を強調した。演説の早い段階で成果の1つとして強調したのが、新型コロナウイルス・ワクチンである。就任時には、100日以内に1億回の接種を約束していたが、実際には2億回以上の提供ができたと発表した。

 ホワイトハウスのWebサイトのトップページには、接種回数がグラフで示されており、これによると4月22日に2億回を達成していることになる(図1)。

図1 米国におけるワクチン接種回数を示すグラフ(5月25日時点)

図1 米国におけるワクチン接種回数を示すグラフ(5月25日時点)

出所 https://web.archive.org/web/20210525125321/
https://www.whitehouse.gov/

〔2〕「気候サミット」の成功をアピール

 1時間以上に及んだ演説では、さまざまなテーマが取り上げられたが、雇用や技術革新、教育や育児などを含む新たな「米国家族計画(American Families Plan)」、医療保険制度や税制改革などとあわせて、気候変動対策についても触れていた。

 気候変動対策についての言及は、他の項目と比べて量は多くなかったが、その中では就任から100日以内に開催するとしていた気候サミット(Leaders Summit on Climate)を4月22〜23日に開催し、世界の主要国(the major economies of the world)として中国やロシア、インド、EUが参加した実績を強調した。

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