国際的にも急成長する洋上風力発電
〔1〕再エネの主力電源化に向けた切り札
2050年カーボンニュートラルに向けて、前出の図2(1)に示したCO2排出量全体の42%も占めている電力部門(エネルギー転換部門)の脱炭素化の実現は必須である。
電力部門は、現在、多様な発電方式(エネルギーミックス)を使用して電力を提供しているが、その電力部門のうち、CO2排出がなくクリーンな風力発電(陸上風力、洋上風力)は、国際的に導入が活発化している。
特に洋上風力発電は、大量導入やコスト低減が可能であるとともに、経済波及効果が期待されることから、国際的にも再エネの主力電源化に向けた切り札ともいわれるようになってきた。
〔2〕風力発電市場を牽引する中国
図4と表5に、日本の風力発電の導入量の推移を示す。現在その導入量は、約4.4GW(443.9万kW)と、国際的な普及状況〔累計:743GW、図5(2)参照)から見ると、かなり立ち遅れている。
表5 2020年末における日本の風力発電の累積導入量(陸上風力と洋上風力の合計値)
※2020年単年導入量は2019年の1.9倍と過去最大の新規導入量になった。
出所 一般社団法人 日本風力発電協会、2021年2月12日(2021年3月15日改訂版)
図4 日本の風力発電導入量(2020年末時点:2021年3月15日改訂版)
図5に、世界の風力発電の導入量の推移を示すが、2020年における陸上&洋上風力発電の新規導入の合計は93GW(9,300万kW)、累積は743GW(7億4,300万kW)となっている。このうち中国は、新規合計のシャアが56%、累積でも39%と、両方ともトップシェアとなっている。
図5 世界の風力発電の導入量の推移(洋上風力の累積導入量は2018年時点で23GW)
出所 http://log.jwpa.jp/img/GWEC2020r.jpg をもとに編集部で作成
また図6に、2020年の世界の風車タービンメーカーの市場シェアのベスト10を示すが、このうち中国勢が7社もランクインしており、市場を牽引していることが見てとれる。
図6 2020年の世界の風車タービンメーカーの市場シェア:ベスト10
出所 日本風力発電協会、ニュースリリース(2021年3月10日)をもとに編集部で作成
〔3〕洋上風力発電では欧州が牽引
現在、洋上風力発電については、欧州を中心に世界的に導入が拡大しているが、最近では中国や台湾、韓国を中心に、アジア市場でも急成長が見込まれている。洋上風力発電の全世界の導入量は2018年までに23GW、2040年にはその24倍の562GWと推定されている注7。
▼ 注7
洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会「洋上風力産業ビジョン(第1次)(案)概要」(令和2(2020)年12月15日)、2ページ参照