ガス事業におけるガスメーターの設置状況:合計5,440万件
前出の表1に示したように、ガス事業における需要家件数(ユーザー件数)、すなわちガスメーター取り付け数は、都市ガス事業が約2,900万件、簡易事業者が約140万件、LP販売事業者が約2,400万件と、合計約5,440万件(2012年3月時点)となっている。
ここで、よく比較される電力会社の状況を概観すると、電力会社における電力メーターの設置台数は合計約8,000万台となっている。例えば電力企業のシェア上位2社を見ると、東京電力が2,700万台(スマートメーターは2020年度までに全数完了)、関西電力1,300万台(スマートメーターは2022年度まで全数完了)となっている。
一方、ガス企業におけるガスメーターの設置状況を概観すると、上位2社は次のようなメーター数である。
(1)東京ガスのガスメーター数:約1,100万台
今後、東京ガスのガスメーターの新設件数は、年間約21万件程度で推移すると見込まれている。2018年度末には、合計1,143万件が見込まれており、5カ年平均で年に1.1%伸びる計画となっている注5。
(2)大阪ガスのガスメーター数:約720万台
また、大阪ガスの供給区域内におけるガスメーターの新設工事件数は、年間約8万件から10万件の水準で推移すると見込まれている。2018年度の取り付けガスメーター数は、合計約730万件となると見込まれており、5年平均で年に0.5%伸びる計画となっている注6。
このように、東京電力の電力メーター2,700万個に対して、東京ガスのガスメーターが1,100万個と、数が少ない。この理由のひとつは、電力の場合は地上に送電鉄塔を立たてて送電線を設置できるが、ガスの場合は、山などがあると導管の敷設が困難になるという事情もあって、地下に導管(ガス用の配管パイプ)を埋め込んでいるためである。
テレメータリング推進協議会(JUTA)における標準化の取り組み
〔1〕「U-Bus/U-Bus Air」の標準化を推進するJUTA
次に、NPO法人テレメータリング推進協議会(JUTA:Japan Utility Telemetering Association)の活動を見てみよう。
JUTAは、エネルギー使用量の「見える化」を推進し、低炭素社会の実現に寄与することなどをはじめ、ガスメーターのスマート化を目指して、新しいガスメーター(テレメータリング)の通信方式「U-Bus/U-Bus Air」などの標準化を推進している。その前身であるLPガスIT化推進協議会(1994年4月発足)を引き継いで、2010年2月に現在の「NPO法人テレメータリング推進協議会」と名称を変更し、2014年10月現在で、75名・1団体で構成されている注7。
〔2〕新しいガス検針用に5種類の標準仕様を策定
このテレメータリング推進協議会(JUTA)は、次世代のテレメータリング(遠隔計測)システムのために、具体的に表2に示すように、①〜⑤の標準仕様を策定し、ガスメーターのスマート化を推進している。
- 新通信インタフェース仕様
①次世代通信ライン注8仕様書
Ver.1.5:ガスメーターと通信装置との接続インタフェースであるU-Busを規定した仕様書
②メーター通信機能仕様書Ver.1.3:U-Bus対応のガスメーターとして備えるべき通信機能仕様書(インタフェース仕様ではなくU-Busを搭載したメーターの通信仕様書となっている) - 新NCU仕様(Network Control Unit。公衆回線に接続するためのネットワーク制御装置)
③次世代通信ライン対応NCU仕様書Ver.1.3:U-Bus対応のNCU(ネットワーク制御装置)として備えるべき通信機能仕様書 - 新無線端末仕様(920MHz帯対応)
④Uバスエア(多段中継無線)通信仕様書Ver.2.0:U-Bus Airの物理層、MAC層、NET層を規定した仕様書。IEEE802.15.4g準拠。Wi-SUN規格として標準化することを提案中
⑤Uバスエア(多段中継無線)機能仕様書Ver.1.1:ネットワーク管理に関する機能や、U-BusとU-Bus Airとの間の転送機能、U-Bus Air無線機として具備すべき最低限のアプリケーション等を規定した仕様書
表2 テレメータリング推進協議会(JUTA)の各種仕様書
〔出所 テレメータリング推進協議会のホームページ、http://www.teleme-r.or.jp/〕
▼ 注5
東京ガス「供給計画の概要〜 2014年度 〜」、http://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20140326-01.pdf
▼ 注6
2014年度 大阪ガスグループ経営計画、「2014〜2018年度 供給計画」
http://www.osakagas.co.jp/company/press/pr_2014/1209286_10902.html
▼ 注7
テレメータリング推進協議会のホームページは以下の通り。
http://www.teleme-r.or.jp/
▼ 注8
「次世代通信ライン」とは『U-Bus』のことを指す。