スマートグリッド登場の背景
地球の温暖化・異常気象の原因ともいわれているCO2排出量の削減は、待ったなしの状態を迎えている。さらに、産業の発展と地球人口の増大(70億人)に伴う電力・エネルギー危機対策と、その安定供給は人類共通の大きな課題となっている。こうしたなかで、これらの課題を解決する可能性をもって登場したスマートグリッドへの期待が高まっている。同時に産業側からは、新しいビジネスや雇用の創出の側面から、スマートグリッドへの期待が高まっている(図1左)。
まだ記憶に新しいが、2011年3月11日に発生した東日本大震災直後は、福島原発などの事故によって東京電力管内では300万軒近くが停電となり、東京電力管内において計画停電も実施された。さらに政府は、東京電力と東北電力管内に一律15%節電する方針を打ち出した。
このとき、多くの人々は被災地の早期復興を願う一方、家庭の冷蔵庫の魚や肉などが腐らないか心配し、地域の病院などの患者のことを思いやる日々となり、企業は存亡の危機に遭遇することとなった。そのようななか、一律の停電でなく、例えば「冷蔵庫だけでも」「病院だけでも」という願いは、多くの人々の期待であった。この期待を実現することこそがスマートグリッドが目指す方向なのである。