[「日本卸電力取引所」の役割と課題]

新電力ベンチャー登場時代の「日本卸電力取引所」の役割と課題≪第2回≫

─「新電力」のバランスをとったビジネス展開─
2014/08/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

5. JEPXの取引と託送サービスの利用

図6は、JEPXの取引の概要を示した図である。図6の上部に見る通り、取引会員とJEPXの間では、請求・支払が銀行を介して行われる。図6右側の電気のやり取りであり、図6右にある、計画値(売り買いの結果)をネットワーク管理者(各電力会社のネットワーク部門)に通知する。
 
例えば「甲発電会社のA発電所は明日のある時間帯に取引所に10万kW売った、あるいは、東京エリアの小売事業者B社は、明日のある時間帯に取引所から5万kWを買った」という情報をネットワーク管理者にすべて通知する。すると、各電力会社のネットワーク管理者(送電網の管理者)は、翌日のネットワーク(送電網)の運用計画の中に、JEPXの取引分の結果を反映させ、電力網を使用してA発電所からの受電、新電力B社の小売需要家への送電を行う。このように、電力会社の送電網を利用し、取引された電気を送るサービスを「託送サービス」と言う。
 
取引に先立って各電力会社のネットワーク管理者は、連系線(電力会社のエリア間で電気をやり取りするための送電設備)がどの程度利用可能か(連系線の空き容量)を、JEPXに通知しておく。
 
すなわち、JEPXは売り買いの結果をネットワーク管理者に報告し、それにもとづく電気の受け渡しは、電力会社の「託送サービス」によって行われる。
 
 
JEPXで行われる取引の場合は、これらの一連の過程がシステムを介し、自動的に連系されて行われる。JEPXのシステムを介して約定した翌日の取引に関する情報は、電子的にシステムを通じ、電力会社のネットワーク部門に送られる仕組みとなっている。

◆図5 出所
〔「卸電力取引所について」、日本卸電力取引所〕
 
▼注6
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