3GPPの組織構成
次に、このような5Gの標準仕様を策定する3GPPの組織構成について見てみよう。
〔1〕3つの技術仕様化グループ(TSG)
3GPPは、図2に示すように、3つの技術仕様化グループ(TSG:Technical Specification Group)である、
- TSG RAN:5G無線インタフェース仕様等を担当
- TSG SA:5Gシステムアーキテクチャ仕様等を担当
- TSG CT:5Gコアネットワーク仕様等を担当
で構成されている。
図2 3GPPの組織構成
TSG:Technical Specification Group、3GPPの技術仕様化グループ
WG:Working Group、作業部会(欠番はすでに終了しているWG)
※詳細は右のURLを参照 ⇒ https://www.3gpp.org/specifications-groups
出所 横田 大輔、「3GPP 5Gシステム仕様検討の経過及びRel 16の役割」、TTCオンラインセミナー(2020年10月27日)をもとに編集部で作成
各グループの下には複数のWG(Working Group、作業部会)があり、それぞれ分担して技術仕様を策定している。
〔2〕移動通信は10年ごとに世代交代
移動通信システムは、図3に示すように、1998年12月に3GPPが設立されて以降、3G(W-CDMA)、4G(LTE)、5G(NR)と、ほぼ10年おきに世代交代が行われてきたことがわかる。
図3 3GPP標準仕様〔3G(W-CDMA)・4G(LTE)・5G(NR)〕策定の歴史
出所 横田 大輔、「3GPP 5Gシステム仕様検討の経過及び Rel 16 の役割」、TTCオンラインセミナー、2020年10月27日
〔3〕「3GPPリリース16」完成までのシナリオ
ここで、特に5Gの中心的な標準仕様である、3GPPリリース15とリリース16の審議スケジュールに注目すると、図4のようになる。
図4 5G標準仕様策定のスケジュール
late drop:積み残し。例えば、リリース15の仕様策定が一部終了してないため、積み残しとして引き続き作業を続けること
ASN.1:Abstract Syntax Notation One、抽象構文記法1。端末とネットワーク間でやり取りするメッセージのフォーマット(ビット列)を定義する言語。これによって、お互いに通信相手とのデータの表現形式の違いを意識しないで通信できるようになる
出所 横田 大輔、「3GPP 5Gシステム仕様検討の経過及びRel 16の役割」、TTCオンラインセミナー、2020年10月27日
5G標準仕様は、図4の上部に示すRelease-15(5G Phase1)と、下部の赤枠内に示すRelease-16(5G Phase2)には、期間に重複があるものの、それぞれ15〜18カ月程度の審議を経て策定された(注。Release-16はコロナ禍の影響を受けて、通常より少し長めの期間を要した)。
さらに、各リリースは3GPPのルールに基づいて、要求条件の規定(Stage1)、アーキテクチャ仕様の規定(Stage2)、プロトコル仕様の規定(Stage3)の3つのステージに分けて審議され、標準仕様の策定が完了した注5。
▼ 注5
参考URL⇒https://www.soumu.go.jp/main_content/000683107.pdf